「ルーキーだから、学ぶことはたくさんある」

　試合が終わった後、八村は両チームの選手たちが挨拶し、言葉を交わしているほうに近づいていった。

　近くにいたデイビスに向かってごく自然に手を伸ばし、握手をした。以前、何度かレストランなどで顔を合わせたことがあったのだという。

「前に何回か会った選手なので、あっちも知っていると思いますし、（試合でも）マッチアップをずっとしていたので」と八村はさらりと答えた。これも今の彼の日常だ。

　そのデイビスは、試合後に八村について聞かれ、こうコメントした。

「彼はよくプレーしたと思う。もちろん、まだルーキーだから、学ぶことはたくさんある。でも、これからずっとよくなっていくと思う。フィジカルだし、得点できて、守ることもできる。この先、このリーグで自分の足跡を残していくだろう」

　この試合でも八村は足跡を残した。それは、少しすると消えてしまうぐらい薄い跡だったかもしれない。それでも、世界のトッププレイヤーと対峙した興奮、そして床に倒されるほど完璧にやられた悔しさ、成長したいという思いは確実に、深く、八村の中に刻まれた。