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ロッテ山本大貴が浦和で見せた光。
大隣コーチが教えた「心を整える」。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byRyotaro Nagata
posted2019/12/12 07:00
今季は一軍での登板機会はなかった山本大貴。「心を整える」ことで来季は一皮剥けるか。
有望株に投じたストレート。
2019年9月21日、ロッテ浦和球場。この日、山本はイースタン・リーグ46試合目の登板にして初の先発マウンドに上がった。
「ひさしぶりにきれいなマウンドにも立つことが出来て、一瞬『わっ』となったというか、ちょっとだけ感動もしましたね」
北海道札幌市の出身で性格は大らか。どちらかと言えば人懐っこいタイプの若者である。まっさらなマウンドへの反応もどこか都会染みていなくて良い。ただし秘めているポテンシャルは相当なもので、それさえ発揮できれば今後大きく飛躍してもおかしくない、そんな大化けの可能性を秘めた投手だ。
この日、ストレートの最速は146kmを計測した。序盤からそのストレート中心で飛ばし、相手打者のバットは何度も空を切った。対峙した相手打者が粒ぞろいだったのも価値を高めた。プロ2年目にして、すでに一軍での実績も申し分ないDeNAの神里和毅に、将来の中軸候補と期待されている細川成也、彼らを相手にストレートでグイグイ押した。
結果は3イニングを投げ、被安打1の無失点。三振も3つ奪うなど首脳陣の期待に応える内容だった。この日を境に、山本の置かれる立場は、少しずつ変わっていった。
先発起用が増えた10月。
まずは起用法。これまではリリーフでの登板が主だったが、10月に行われたフェニックスリーグでは、5試合の登板中、その全てが先発での起用となった。
17日の広島戦こそ派手に打ち込まれたが、12日、23日、28日に行われた3試合では4回、5回、4回とそれぞれ無失点に抑える好投。これまでの彼とは明らかに違う変化をこの宮崎で見せた。
「今は先発だろうが、中継ぎだろうが一軍での結果が欲しいし、どちらでもやれるようにしたいと思っています。使っている人も『使いやすい』と感じてくれるような、連投させても大丈夫なイメージをつけたいし、その点で1年間怪我もなくやれたのは本当に良かったと思っています」