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ロッテ山本大貴が浦和で見せた光。
大隣コーチが教えた「心を整える」。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byRyotaro Nagata
posted2019/12/12 07:00
今季は一軍での登板機会はなかった山本大貴。「心を整える」ことで来季は一皮剥けるか。
精神面の強化が課題だった山本。
変身のきっかけになったのは、今季からニ軍ピッチングコーチとして指導することになった大隣憲司の存在だ。今春に行なわれた東洋大学とのプロアマ交流戦の試合後、大隣は自身が現役時代に続けていたチェック表の存在を山本に教示した。
「自分の心を整える部分で、色々なアドバイスをもらいました。それから大隣コーチからは色々な本を貸してもらって、読んでみたりもしました。そこでなんとなくメンタルの持ちようと言うか、自信がついてきたのはあります」
昨年までの山本はここ一番で緊張してしまう場面が多く、精神面の強化がひとつの課題だった。昨年(2018年)、唯一の一軍登板となった10月10日の北海道日本ハム戦では、慣れない環境に戸惑い、自分の良さを見失って3回4失点。その後も「ここぞ」のチャンスで本来の自分を発揮できない精神面の弱さがところどころで見られた。
「雰囲気にのまれた部分があったとは自分でも思います。ファームで初めて投げた試合もそうでしたし、初めて一軍に呼ばれたときもそうでした。自分の中で『これがプロ野球だ』って余計に自分を締めつけている感じもあって、勝手に緊張していたのも(原因に)あったと思うんです。その緊張感と上手く付き合えていなかったのが僕の1年目だったかなと。一瞬で終わってしまった感じはしますね」
割り切って考えられるようになった。
それが今春、大隣コーチのちょっとしたアドバイスをきっかけに変わっていった。
「(メンタルトレーニングの)本でも、その通りにやるんではなくて『こういう考え方もあるくらいに留めよう』みたいに書いてあったんです。あとは自分の中で解釈して、実践するのが一番良いみたいに書かれていた。そこからは、こういう考えの人もいるし、自分みたいな考えもある。それはしょうがないことなんだなって『広く、緩く』割り切って考えられるようになりました。自分をキツキツに縛らないように。それが今年は活きてきたんだと思っています。シーズンを重ねるごとに、その感覚は上手に掴めるようになってきたので」