球道雑記BACK NUMBER
ロッテ山本大貴が浦和で見せた光。
大隣コーチが教えた「心を整える」。
posted2019/12/12 07:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Ryotaro Nagata
アメリカ合衆国自治領プエルトリコ、カグアス。
首都サンファンから南に約30km離れたこの場所は、プエルトリコでも5番目の人口を誇る自然豊かな街であり、周辺の農業地帯ではサトウキビ、タバコ、果樹、野菜などが栽培されている。
日本のプロ球団・千葉ロッテが2019年から3年間の業務提携を結んだカグアス・クリオージョは、1938年に設立された80年以上の歴史を持つ球団であり、プエルトリコのプロ野球「リーガ・デ・ベイスボル・プロフェシオナル・ロベルト・クレメンテ」でも12回の優勝を誇る。
さらにはプエルトリコ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、メキシコ、キューバの各ウインターリーグ覇者が一堂に会して行われるカリビアンシリーズ(セリエ・デ・カルベ)でも、優勝5回の実績を誇り、近年では2017、'18年に連覇も果たした。
そんな中南米・屈指の強豪に、今秋、千葉ロッテは若手・中堅を含めた3選手を武者修行として送り込んだ。岡大海、安田尚憲、山本大貴の3人である。
プロ2年間で一軍登板は1度きり。
この3人の名前を見て、筆者が一番驚いたのが山本の名があったことである。
社会人野球の三菱自動車岡崎からプロ入りして2年目を終えたばかりの24歳。ここまでの一軍実績は昨季(2018年)のリーグ終盤戦で投げた1度きりで、今季も一軍での登板はなく、年間を通してファームで過ごしてきた。それでも、ロッテ浦和球場へ足繁く通ったファンの中には、この人事に納得している方がいるかもしれない。今季のイースタン・リーグ終盤戦で、山本大貴が放った燦爛とした光は、来季の飛躍を十分予感させるものだったからだ。