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藤田菜七子、99勝目が初JRA重賞。
現在全国26位、トップテンも視野?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2019/12/10 20:00
斤量優遇のない重賞での勝利は完全な藤田菜七子の実力である。条件戦では外せない騎手になる可能性もある。
関東リーディングではなんと10位。
「まず、コパノキッキングと、関係者のみなさまに感謝したいという思いです。前に速い馬もいたので、結果的に行った馬たちの後ろにはなりましたが、いい手応えで運ぶことができました。コパノキッキングが一番強いと思って乗っていましたし、追い出してからも、しっかり一歩ずつ伸びてくれました」
感情を抑えるように話した彼女は、コパノキッキングのよさについて問われると、こう答えた。
「自在に競馬をすることができ、58キロを背負っても、こうして勝つところがいいところだと思います。素晴らしい馬に乗せていただき、私自身、少しずつですけど成長することができて、本当に感謝しています。ファンのみなさんには、これからもコパノキッキングを応援していただければと思います」
藤田は、JRAの女性騎手の通算勝利数と年間勝利数の最多記録を更新しつづけている。これが今年の42勝目。全国リーディングでは26位、関東リーディングでは10位という成績だ。
勝利数は同じだが、2着の数の差で、横山典弘より上につけているのだから、恐れ入る。
新潟では戸崎を抑えて開催リーディング。
まだ今年のJRAの開催は5日間残っているが、デビュー4年目の2019年、22歳になった藤田が残したほかの記録にも、非常に価値の高いものがある。
それは、この秋、第3回新潟開催で9勝を挙げ、女性騎手として史上初の開催リーディングの座についたことだ。同時に、2019年の新潟競馬リーディングジョッキーも獲得した。20勝を挙げた藤田が1位、13勝(2着15回)の戸崎圭太が2位、13勝(2着13回)の丸山元気が3位だ。
戸崎は、言わずと知れた、'14〜'16年のリーディングで、地方で2300勝以上、JRAで1000勝以上挙げている名手。丸山は藤田と同じ根本康広厩舎に所属する兄弟子だ。
それだけで先輩たちを超えたということにはもちろんならないが、2位が戸崎というところに、大きな価値と「本物感」がある。