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藤田菜七子、99勝目が初JRA重賞。
現在全国26位、トップテンも視野?
posted2019/12/10 20:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
また彼女が、アイドルからトップジョッキーへと、確かな一歩を踏み出した。
藤田菜七子が12月8日の第12回カペラステークス(中山ダート1200m、3歳以上GIII)を2番人気のコパノキッキング(セン4歳、父スプリングアットラスト、栗東・村山明厩舎)で優勝。
女性騎手として史上初めてのJRA平地重賞制覇をなし遂げた。なお、これが藤田にとって、通算99勝目(JRA89勝、地方10勝)となった。
迷いはなかった。パートナーのコパノキッキングには、自身のGI初騎乗となった今年のフェブラリーステークス(5着)から6戦連続での騎乗となる。
同馬は昨年、このレースを柴田大知の手綱で差し切っている。当時の斤量は55キロ。それより3キロ重い58キロの今回は、最後に速い脚を使いづらくなるぶん、序盤は先行したいところだ。
好位で出て、慌てず直線勝負。
「行ければ、逃げた馬の番手(直後)につけたいなと思っていたので、それなりにしっかり(ゲートから)出して行きました」
そう振り返った藤田は、スタート直後から力強く手綱をしごき、好位の4、5番手につけて、流れに乗った。
しかし、少しずつ逃げ馬に置かれはじめ、3コーナーでは4馬身ほどの差がついていた。それでも藤田は慌てなかった。
4コーナーで外からじわっと差を詰め、直線へ。ラスト200m手前で素早く鞭を持ち替え、ゴーサインの右ステッキを入れた。さらに、加速する騎乗馬の背で全身を沈め、肘をリズミカルに動かし、追いつづける。
その叱咤に応えたコパノキッキングは、ゴールまで10完歩ほどのところで先頭に立ち、2着を2馬身半突き放してゴールを駆け抜けた。藤田は左手でコパノキッキングの首差しを撫でるように叩き、健闘を讃えた。