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プレミア12、日本の4番・鈴木誠也。
爆発的な数字と驚異的な“対応力”。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2019/11/08 12:10
プレミア12オープニングラウンド台湾戦の3回、2ランを放ちチームメートとタッチを交わす鈴木。
鈴木誠也か、柳田悠岐か。
そのため小久保監督時代には日本ハムの中田翔内野手を起用しようとしたが、最終的には国際試合への強さから本番ではDeNAの筒香嘉智外野手にその座を任せることになった経緯もあった。
その小久保監督時代に打撃コーチとして同じように中田の4番を追い求めた稲葉篤紀監督にとっては、2020年の東京五輪に向けて、その理想を見せてくれた鈴木の活躍でもあったのだ。
筒香のメジャー移籍が有力となる来年の五輪では、日本代表の4番候補としてはこの鈴木の他には、右肘の手術で今大会は出場辞退となったソフトバンク・柳田悠岐外野手がが挙がることになる。
柳田もまた2014年の日米野球ではMVPを獲得するなど、国際大会への対応力の高さは実証済みで、おそらくこの2人のうちのどちらかが任されることになるはず。
ただ、「右の大砲」という理想型を考えると3番に柳田を置いて、4番に鈴木という形が稲葉監督の描く五輪打線の構想となるはずなのである。
打率4割5分5厘で2本塁打9打点という爆発。
その最終テストとも言えるのが、この「プレミア12」での4番起用だった。
「1点取れるときはしっかり取っておかないと、こういう試合はどうなるか分からない。スキがあれば次の塁を狙っていくという姿勢でやっていきたい」
7回には死球で出塁すると、すかさず5番・吉田正尚外野手(オリックス)の初球に二盗も決めて、9回のチャンスでも三遊間を破るタイムリーで6点目を叩き出した。
これでオープニングラウンド3試合は11打数5安打の打率4割5分5厘で2本塁打9打点という爆発だ。
まさに「日本の4番」の重責を果たす活躍といえるものだった。