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プレミア12、日本の4番・鈴木誠也。
爆発的な数字と驚異的な“対応力”。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2019/11/08 12:10
プレミア12オープニングラウンド台湾戦の3回、2ランを放ちチームメートとタッチを交わす鈴木。
「日本の4番」の責任を果たした。
ただ、そんな逆風をものともせずに「日本の4番」の責任をしっかり果たしたのが、このシリーズで主砲を任されている鈴木誠也外野手(広島)だった。
「打席に立ったときは相手(投手)との勝負なので、(応援は)聞こえてこないし、守っているときは逆に(台湾の応援を)楽しんでやれました」
1回には四球の近藤健介外野手(日本ハム)を二塁に置いて左中間を破る先制のタイムリー三塁打。そして完全アウェーを吹き飛ばす2試合連発の大会2号は3回2死一塁の場面だった。
「勝ちたいという気持ちで打ちました。初回の台湾のバッターの打球も風がなければいっていたと思うし、感触は良かったけど、かなり風が強かったので入るかな、という感じでしたけど」
2番手左腕・王宗豪投手のストレートを叩いた打球は、フェンスを越えるどころか左中間席の中段まで飛んで行った。
圧倒的な台湾の応援を沈黙させて、試合の主導権を完璧につかんだ追撃の2ラン。鈴木にとっては前日のプエルトリコ戦に続く2試合連発の2号だった。
4番打者は右の大砲が理想。
「4番打者は右の大砲が理想」――2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)まで日本代表の指揮を執った小久保裕紀監督以来、代表監督が求める理想の「日本の4番像」は一貫して右のスラッガーである。
近年では最も理想の4番打者像でもある巨人時代の松井秀喜さんでも、場面によっては阪神・遠山奨志投手などの左の変則投手をワンポイントで当てられ対処に苦労する場面があった。それなら基本的に投手の左右に関係なく不動の主砲となれる右のスラッガーが4番の理想像という考えだった。