プロ野球亭日乗BACK NUMBER
プレミア12初戦で薄氷の逆転勝利。
「国際試合では逆方向」を徹底せよ!
posted2019/11/06 12:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
KYODO
負けてもおかしくない試合……いや、相手投手が普通に投げていれば、負けている試合だったと言ってもいいだろう。
東京五輪の予選を兼ねた野球の国際大会「プレミア12」の台湾でのオープニングラウンドが5日に開幕。稲葉篤紀監督率いる日本代表・侍ジャパンは大苦戦の末、終盤の逆転劇で8対4とベネズエラを下して白星スタートを切った。
残された攻撃は8回と9回の2回だけ。その中で侍ジャパンが追いかけるのは2対4と2点のビハインドだった。
日本にとっては絶体絶命のピンチのはずだったが、そこから白星目前のベネズエラ投手陣がいきなり崩れた。
不振の1番・坂本に代打。
マウンドの5番手左腕、エルビス・エスコバー投手が先頭の浅村栄斗内野手(楽天)を1ストライクを取ってからボール連発で歩かせると、続く丸佳浩外野手(巨人)にはストレートの四球でピンチを広げる。
ここで代わったアントニ・ビスカヤ投手に松田宣浩内野手(ソフトバンク)が送りバントを失敗して万事休したかと思えたが、ここからまた四球の連発だ。
まず9番の会沢翼捕手(広島)にもストレートの四球で満塁とする。するとすかさず稲葉監督が勝負に出た。不振の1番・坂本勇人内野手(巨人)に代えて山田哲人内野手(ヤクルト)を送る代打策だ。
その山田がカウントをとりにきた初球の甘い真っ直ぐを左翼線にあとわずかで逆転満塁本塁打という大ファウル。この一撃でビスカヤは、ますますストライクが入らなくなってしまった。