プレミアリーグの時間BACK NUMBER
王者マンC、序盤戦でまさかの2敗。
グアルディオラはどう腕を見せる?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byUniphoto Press
posted2019/10/17 19:00
1敗するだけで騒がれるようになったマンチェスター・シティ。それはメガクラブに成り上がった証拠なのかもしれない。
攻めて攻めまくるスタイルは不変。
守備の問題解決が火急の課題とする報道からは、このままでは二頭立てのタイトルレースすら成り立たないのではないかという不安も感じ取れた。とはいえ、今季開幕前の国内には、2強の構図さえリーグの魅力という観点からは好ましくないという声があった。
個人的にも「マンCのアキレス腱、大いに結構」という心境だ。
二頭立ての優勝争いでも、リバプールがわずか1敗でも優勝できなかった昨季のようなハイレベルな争いであれば見応えは十分。マンCが、このままズルズル引き離されるとは思えない。今季も最後まで手に汗握るデッドヒートが楽しめると信じている。その根拠は、マンCの看板であり、グアルディオラの本質とも言うべき、攻めて、攻めて、攻めまくり、貪欲に得点を狙い続ける攻撃にある。
とはいえウルブズ戦は精彩を欠いた。前線と中盤の出来を評価すれば、3トップも中盤の3センターも、10点満点中6点の及第点が限界だろう。グアルディオラの「バッド・デイ」という試合後のコメントを鵜呑みにしているわけではないが、この日は「たまたま出来が悪かった」と感じられた。
完璧主義者として知られる監督に率いられて、持てる能力も向上心もトップレベルの顔ぶれが揃うチームとはいえ、マンCの選手たちも人間だ。
リーグ戦無得点は29試合ぶり!
なにせリーグ戦での無得点は29試合ぶりである。5日前には、クラブ史上初の優勝を意識しているだろうCLで、ディナモ・ザグレブ相手のホームゲームに勝利し(2-0)、グループステージで2連勝スタートを決めたばかりでもあった。
また5-3-2システムで守備に頭数を割いたウルブズは、格上との対戦では速攻に徹して結果を出すスペシャリストとも言える。
そのウルブスに右にならえでマンC戦では引いて守ってカウンターを狙うチームが続出するのかというと、総体的にポゼッション志向が強まっているリーグの傾向を考えれば、そうとは言い難い。格下に当たる他のチームが、ヌーノ・エスピリト・サント率いるウルブズと同じレベルで、戦前のプランを90分間遂行する組織力と精神力を備えてはいないだろう。