プレミアリーグの時間BACK NUMBER
王者マンC、序盤戦でまさかの2敗。
グアルディオラはどう腕を見せる?
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byUniphoto Press
posted2019/10/17 19:00
1敗するだけで騒がれるようになったマンチェスター・シティ。それはメガクラブに成り上がった証拠なのかもしれない。
デブライネが戻ってくれば……。
ウルブズ戦は、ケビン・デブライネをハムストリングの怪我で欠いてもいた。芸術的なアシスト能力を持つチャンスメイカーがいれば、フィールド選手8名による敵の防御壁を前にした25m程度の距離からでも、相手の隙間をすり抜けるようなスルーパスや、ゴールエリア手前に届く危険なクロスが得点につながっていたのではないだろうか?
デブライネが不在でも、前半にラヒーム・スターリングのミドルが相手GKに横っ跳びセーブを強い、後半にはダビド・シルバのFKがバーを叩き、ボックス内のベルナルド・シウバのシュートがブロックにあうなど、チャンスがあったことも事実だ。
デブライネはCLに続く欠場だったが、リーグ前に取り沙汰されていなかった。その背景には、CB事情はさることながら、開幕からのゴールラッシュもあった。
前節までの計27得点は、国内トップリーグの開幕7試合消化時点で1894年以来のハイスコアである。試合当日の『サンデー・タイムズ』紙を見ても、餌食になりかねないウルブズの身を案じるプレビューがあったほどである。
リバプールが王座を奪い取るか?
情け容赦のないマンCの決定力と得点意欲。それは第6節で8失点を喫したワトフォードのゴールを守るベン・フォスターが「前半を0-5で終えられて良かった」と振り返ったほど凄まじい。
開幕戦でウェストハムを寄せつけずに(5-0)スタートを切った時点では、他チームのファンの間ではやっかみ半分で、中立的なメディアでも冗談半分で、「強すぎてつまらない」とまで言われていた。
リバプールのクロップ監督は最終節まで優勝を争った昨季、諦めずに戦う自軍を映画『ロッキー』シリーズの主人公に例えていた。マンCは、その4作目に登場した対戦相手のイワン・ドラゴのようだ。ドラゴが通常の2倍の破壊力を持つパンチ連発で相手を叩き潰すボクサーなら、マンCはゴール量産で相手を蹴散らしてきたチームだ。
4得点以上を奪っての勝利は、前述のワトフォード戦が3年前からのグアルディオラ体制下で43試合目。しかも、格下を打ちのめすだけではなく、リバプール、チェルシー、トッテナムとの対戦でも過去に大勝を収めている。
マンCに「アキレス腱」が認められたことで、「ロッキー・チーム」ことリバプールが、マンCのリーグ3連覇を阻止する可能性が増した。開幕当初とは違い、リバプールが優勝の最右翼とみなされるようになり、二頭立てのレースでも序盤戦にして第1弾のツイストが加わった。