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ディープ&武豊にオルフェーヴル。
凱旋門賞、日本馬の足跡と悲願。
posted2019/10/04 07:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
凱旋門賞(フランスGI、パリロンシャン競馬場、芝2400メートル)がいよいよ今週末に迫った。
今年は長い凱旋門賞の歴史でも初めてとなる3連覇に挑むエネイブル(牝5歳、英、J・ゴスデン厩舎)や、目下GI2連勝中と勢いに乗るジャパン(牡4歳、愛、A・オブライエン厩舎)、同じくアイルランドの伯楽が送り込むマジカル(牝4歳、愛、A・オブライエン厩舎)らヨーロッパのトップホースを相手に、3頭の日本馬が挑戦状を叩きつける形となり、大いに注目されている。
私がこのヨーロッパ最大のレースを初めて生観戦したのは丁度20年前となる1999年。その数年前から海外競馬に訪れていた身としては、比較的遅めの初観戦だった。日本調教馬のエルコンドルパサー(現在の表記で当時4歳)の挑戦を取材に訪れたのが、最初だった。
以来、昨年までの20回、日本馬出走の有無に関係なくほぼ全てを現地で見てきた。そんな中で、もちろん思い出に残るレースも数多くあった。
称えられたエルコンドルパサーの2着。
まずは何と言っても先述したエルコンドルパサーである。凱旋門賞制覇を目指すために同馬がフランスに乗り込んだのはなんと大一番の約半年も前。オーナーの渡邊隆氏が、現地に長期で滞在させることで、愛馬をヨーロッパの馬場に合う馬へチューンアップさせようと考えたのだ。
そのためエルコンドルパサーのヨーロッパ初戦は5月のことだった。イスパーン賞(GI)でヨーロッパデビューを果たすとここはクロコルージュの2着に敗れたが、続くサンクルー大賞(GI)は好メンバー揃いのレベルの高いレースにもかかわらず、終わってみればなんと楽勝。かの地での初勝利をGIで飾ってみせた。
秋初戦となったフォワ賞(GII)は3頭立てという慣れない競馬だったこともあり、思わぬ苦戦を強いられた。しかし、結果的には名牝ボルジアの追走を抑え、現地での重賞2勝目をマーク。
こうして凱旋門賞へ駒を進めると、若き王者モンジューの末脚に半馬身だけ屈したものの果敢に逃げる形から2着は確保。現地メディアは「今年の凱旋門賞には2頭の勝ち馬がいた」と日本から来た挑戦者を称えた。