マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
2019年ドラフトを1人で全予想・中。
広島・楽天は投手、阪神は4番候補。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2019/10/02 18:00
智弁和歌山の東妻純平は2019年ドラフトの高校生捕手ではかなり上位の存在だ。
優勝を逃したカープは即戦力がほしい。
〔広島東洋カープ 2019年ひとりドラフト指名選手〕
外れ 投手 森下暢仁(明治大) 180cm75kg 右右
1位 投手 鈴木寛人(霞ヶ浦高) 186cm79kg 右右
2位 投手 堀田賢慎(青森山田高) 185cm80kg 右右
3位 内野 柳町達(慶應義塾大) 180cm72kg 右右
4位 捕手 辻野雄大(ホンダ) 179cm80kg 右左 26歳
5位 投手 近藤卓也(ヤマハ) 187cm88kg 右右 24歳
6位 投手 伊藤健太(中部学院大) 184cm85kg 右右
7位 遊撃 近藤大樹(西日本短大附高) 170cm68kg 右右
〔総評〕
カープの指名は相当迷った。
スカウト陣は、将来性と即戦力性を兼備した「奥川恭伸」を推した。
優勝を逸した現場の総意は、来年すぐに10勝を望める「森下暢仁」で、と願った。
そして「決定権」を持つ松田オーナーは、長身、オーソドックスな本格派右腕……好みのタイプぴったりの「佐々木朗希」に魅力を感じていた。
事のてん末はわからない。鶴の一声は「森下でいこう!」。結果的に、現場の意向が優先される形になった。
もちろん、森下の実力を評価し、来季の「反撃」を期した選択だろうが、一方で、今季FAの権利を取得した野村祐輔。明治大の先輩・後輩コンビに、カープのこの先を託したとしたら……。
ローテーションの柱として大きな期待がかかった岡田明丈、薮田和樹の誤算もあって、投手陣の整備は最優先のはずだが、森下を抽選で逸しては、今年は上位で指名するに見合う即戦力タイプは見当たらない。
カープが大きく舵をきった。
ならば、将来のエース格を! 急旋回できるのも、指示系統がはっきりしている「カープ」の強味だ。
長身、長いリーチ、オーソドックスな本格派右腕。これが、カープ・ドラフトのキーワードだ。
ならば、繰り上げ1位鈴木寛人、2位堀田賢慎……うってつけの人選だろう。
鈴木の圧倒的な角度と高速スライダー。堀田のホームベース上で回転がほどけない快速球。甲乙つけがたい逸材2投手だ。
本当は、柳町達、郡司裕也、慶應義塾の3番、4番を上位でさらうというプランだったのだが、柳町を首尾よく3位で指名した後、郡司は楽天に持っていかれた。
逆にしていれば……いやいや、学生球界の実力者をこの順位で両獲りというのが欲張りな話なのだ。慶應義塾OB・松田オーナーには、1人で我慢していただくことになった。
2年目・中村奨成に思ったような進境が見えなければ、来季「カープマスク」の一角を担える捕手獲得は急務。そうでなくても、會澤翼がFAの可能性もある。辻野が4位で残っていたのは、ほとんど奇跡。快足・敏捷な即戦力捕手だ。
ヤマハの近藤は、140キロ後半の速球と落差の大きなフォーク。薮田タイプ、今季急激に成長した。そして、遊撃手の近藤。フィールディングに関しては、「U18」組を凌駕。高校No.1遊撃手と、はっきり推しておく。