ぶら野球BACK NUMBER
30年経っても「タツノリ~」と叫ぶ。
巨人優勝が告げた、終わりと始まり。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2019/09/24 11:30
プロ野球は令和の時代も続いていく。巨人ファンは何度も何度もこの日の話をし続けていくのだろう。
2014年Vの時はロペスや長野がいた。
試合開始前にグラウンドに降りると、さすがに大勢の取材陣がすでにスタンバイ。打撃練習を見ていたら、黒いポロシャツ姿の長身の男性と目が合った。元巨人投手の小山雄輝さんだ。
小山さんには4年前に自分のデビュー作収録のインタビューをさせてもらったことがある。久しぶりの挨拶がてらの雑談で、自然と話題は前回2014年Vの思い出話に。
「あの年もハマスタで優勝決定で、内海さんが先発して、村田さんとアンダーソンがホームラン打ったんですよね」
「いやー、翌日の先発ローテが自分の順番だったんで、ドキドキしながら見てましたよ」
「そうそう、優勝翌日が唐突に4番センター大田さんで、先発が小山さんで」
いやー打たれちゃいましたけどねと懐かしそうに笑う小山さんは、楽天移籍後'18年限りで引退して今季から巨人球団職員を務めている。
入れ替わりの激しい野球界で5年という時間は長い。今はDeNAの主軸を打つロペスもまだジャイアンツの一員だったし、優勝決定日のスタメンには長野久義や片岡治大の名前があり、もちろん4番キャッチャー阿部慎之助だ。あれから長い時間が経ったのである。
ゲン担ぎのシウマイ弁当を持って。
さて、試合開始前に三塁側スタンドに上がる途中に並ぶベンチに腰掛け、関内駅で買ったシウマイ弁当を食べる。
通路にはDeNAファン向けのクレーンゲームが設置され、家族連れが楽しそうに遊ぶ中、昨日もここで同じものを食べて巨人勝ったしさ……なんて野球ファン特有の「いやあんたがなに食おうとそれ別に勝敗に関係ないんじゃ」と突っ込みどころ満載のなんだかよく分からないゲン担ぎである。
そう言えば、2014年の夜もシウマイ弁当食ったな。ハマスタと言えば、今も昔もシウマイの香りだ。
17時プレイボール、巨人の先発はなんとプロ初登板のルーキー戸郷翔征である。1年前はまだ宮崎で高校生をやっていたドラフト6位右腕が、一軍のペナントを左右するビッグゲームに投げるわけだ。マジ19歳でそこに立っているだけで凄いよ……とマウンド上で躍動する背番号68に拍手を送る。
戸郷は乙坂智に2ランを浴びたものの、150キロ超えの直球を連発する内容に底知れぬ将来性を感じさせた。試合は7回に1点を返した巨人が、9回2死走者なしから連続四球と小林誠司のライト前タイムリーで2対2の同点に追いつき、延長10回表に売り出し中の“'93年組”のひとり増田大輝が、センター前にしぶとく抜ける殊勲打を放ち勝ち越し。