ぶら野球BACK NUMBER
30年経っても「タツノリ~」と叫ぶ。
巨人優勝が告げた、終わりと始まり。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byYasutaka Nakamizo
posted2019/09/24 11:30
プロ野球は令和の時代も続いていく。巨人ファンは何度も何度もこの日の話をし続けていくのだろう。
この優勝でやっと2次政権が終わったのだ。
舞い散る無数のオレンジ色の紙テープ。その久しぶりすぎる光景に鳥肌が立つように体の奥底からジワジワと喜びがこみあげてくる。
あぁ良かった、本当に良かった。横浜の夜空で8度宙に舞う背番号83に精一杯の拍手を送る。優勝監督インタビューが始まると、オーロラビジョンに表情が映し出され現地でも原監督が泣いているのにようやく気が付いた。
「非常に新鮮ですね。歳を取るとちょっと涙腺が弱くなるのかもしれませんね。レフトスタンド! ファンの皆様ありがとうございました!」
思わず、こっちも「タツノリ~!」なんつって絶叫だ。そう言えば、30年前の平成元年のV決定試合も原辰徳のホームランにテレビの前で同じように叫んでいたなと思い出しながら。そして、30年後も歳を取った俺らは今夜のハマスタの出来事を懐かしく語り合うのだろう。
このコラムを書き終えた9月24日明け方、スポーツ新聞各紙の一面で『阿部慎之助 引退』が報じられた。2019年シーズンの5年ぶりの優勝は「第3次原政権の始まり」と同時に、阿部のチームと言われた「第2次原政権の終わり」だったのではないだろうか。
そう令和元年の巨人優勝は、ひとつの時代の終わりと始まりを意味していたのである。
See you baseball freak……