智弁和歌山・池田は春から別人に。

「春」の印象と一変して見えたのが、智弁和歌山のエース・池田陽佑（3年・183cm84kg・右投右打）だった。

　まるで別人だった。昨年の秋から、よほどよい練習を重ねたのだろう。マウンドに立つと“支配感”が違っていた。

　2回戦・明徳義塾戦。1点先制された6回からマウンドに上がったピッチングに驚いた。堂々としていた。リードしているチームの「エース」にしか見えなかった。

　池田投手はこの春のセンバツでも投げている。2試合投げて、啓新（福井）には2失点完投勝利を収めているのだが、そのわりに印象が薄かった。

　センバツの後、春の近畿大会で「149キロ」まで上げてきたと聞いていた。それなら、スピード相応の「確信」を伴ったピッチャーになったのだろう……と思いつつも、実はあんまりアテにしていなかった。

　たまたま出てしまった快速球。そんな話をいくらも聞いてきたからだ。

快速球を投げての“オレサマ感”。

　しかし、リリーフのマウンドに立った「この夏」の池田陽佑は違っていた。カウント球で148キロ。追い込んだら150キロ。3ボールのセットからでも144キロが出ている。

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　いい投げ方だ。

　両肩のラインの上でテークバックから腕の巻き上げ、腕の振りの連動がなされ、さも気分よさそうに腕を振り下ろす。そんな快速球を投げ込んでおいて、「どーだっ！」って顔をしている。

　その“顔”がほしかった。

　チェンジアップやスプリットを交えながら、打ち取ると、ざまーみろ……みたいな横顔を見せる。その“オレサマ感”がほしかったのだ。

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