沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
ブラストワンピース、凱旋門賞へ。
札幌記念の力勝負を制した意味。
posted2019/08/19 15:20
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
AFLO
GI馬4頭が出走する超豪華メンバーとなった第55回札幌記念(8月18日、札幌芝2000m、3歳以上GII、14頭立て)を、川田将雅が騎乗する3番人気のブラストワンピース(牡4歳、父ハービンジャー、美浦・大竹正博厩舎)が優勝。秋の凱旋門賞挑戦に弾みをつけた。
4頭のGI馬のうち2頭が、ここをステップに凱旋門賞(10月6日、パリロンシャン芝2400m、GI)に向かうと発表されていた。ブラストワンピースと、1番人気のフィエールマン(牡4歳、父ディープインパクト、美浦・手塚貴久厩舎)である。
最内の1枠1番からスタートしたブラストワンピースは、後方馬群の内埒沿いを進んだ。クリストフ・ルメールが乗るフィエールマンは、その外につけた。
ブラストワンピースと初コンビを組んだ川田はこう振り返る。
「この枠になった時点で、嫌なイメージの並びだなと思いました。終始いい流れではないなかで競馬をすることになりました」
スタンドから見守った大竹正博調教師もハラハラしたようだ。
「ゲートは出たと思ったのですが、ぜんぜん進んで行かなかった。いやあ、どうするのかな、と思いました」
ブラストワンピースの前がバラけた。
逃げたエイシンティンクルが向正面でペースを上げた。14頭の馬群は15馬身ほどの縦長になり、1000m通過は59秒9。
大竹調教師はつづける。
「エイシンティンクルがいい流れをつくってくれた。そのおかげで、馬と馬との間にスペースができた。瞬発力勝負になると分が悪いのですが、スペースがあれば自分から動いて勢いをつけることができる」
3、4コーナー中間の勝負どころで、ブラストワンピースは馬1頭ぶん外に持ち出し、5馬身ほど前にいたワグネリアンを追いかけるような形で進出した。
「道をつくりに行こうとしたのですが、道がなかった。展開を思えば苦しかったのですが、ワグネリアンが動いてくれたおかげで前がバラけて助かりました」
そう話した川田は、直線入口でブラストワンピースをワグネリアンの内に誘導した。