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田中裕介が知る中澤と憲剛の凄み。
岡山のJ1昇格へ「自分と向き合う」。
text by
石倉利英Toshihide Ishikura
photograph byGetty Images
posted2019/08/14 08:00
J1各クラブで名バイプレーヤーだった田中裕介。今はファジアーノ岡山のためにすべてを尽くしている。
中澤、憲剛、清武たちの共通点。
高校を卒業して横浜FMに加入した2005年、田中は、前年にJリーグMVPを受賞した当時27歳の中澤佑二に驚かされた。
「練習で『抜けるんじゃないか』なんて、まったく思えませんでした。ヘディングも勝てるわけがなくて、高校生とプロは、こんなにも違うのかと」
最終ラインには松田直樹もいた。川崎Fでは中村憲剛、伊藤宏樹、稲本潤一、C大阪では年下だが尊敬できる山口蛍、清武弘嗣とプレーした。
彼らには共通点があるという。
「いまになって分かるのは、みんな自分と向き合っているんです。試合に出られるか・出られないかを取っ払って、自分と戦っている。ひとつひとつのプレー、たとえばミスをしたことを、自分が許せるか。みんなに自分のラインがあって、そこに対して日々練習をしているから、オーラが出ていたのかな、と感じています」
気付いたことを言葉にして伝える。
チームメイトとして接していた、自分を高める努力を怠らないベテランたちに近い年齢になった。J1に昇格したことがない岡山に加入したこともあり、自らの経験をチームメイトに還元していくことを意識している。
「気付いたことを言葉にして伝えるのは、これまで所属していたチームよりも多くやっていて、有馬監督からも『周りに伝えてほしい』と言われています。自分のためにもなりますからね。それと、自分と向き合うこと。この2つは意識しています」
終盤に差し掛かったキャリアにふさわしいアクションの一方で、次第に募っているのは、J1への思いだ。
「岡山でJ1に昇格したいという思いは、日に日に強くなっています。最近2年間は13位(2017年)、15位(2018年)だったので、どんな感じかと思っていましたが、想像以上に力がある。モチベーションが高い選手が多いので、これが続いていけば、J1を狙えるところまでいけるんじゃないかと思っています」