サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
板倉滉が味わった屈辱とめんつゆ。
コパ・アメリカで鬱憤を晴らす。
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byAtsushi Hashimoto
posted2019/06/15 11:45
今季オランダに活躍の場を求めるも、出場ゼロに終わった板倉滉。悔しい思いをコパ・アメリカの舞台でぶつける。
「無理やりにでもポジティブに」
「よく、海外組の人が『できるだけ早くヨーロッパへ行ったほうがいい』と言いますよね。僕の場合、試合にも出ていないし、まだ何も始まっていないですけど、それでも行って良かったと思います。言葉も通じず、普段の生活でも大変なことがある。日本に帰りたいと思ったことは何度もあります。
それでも、今季の経験が絶対にこの先につながると、無理やりにでもポジティブに考えています。これまでの僕のサッカー人生も、ステップアップするたびに、まず壁にぶつかって、それを乗り越えてきましたから」
理想はブスケッツとヤヤ・トゥーレ。
壁を乗り越えるチャンスは、突然やって来た。コパ・アメリカに臨む日本代表メンバー入り。その報せを聞いたときは、板倉自身も驚いた。正直、試合勘への不安はある。でも、それ以上に闘志と、責任感がある。
「選んでくれた森保一監督のためにも、しっかりやりたい。世界を代表するチームや選手と、コパ・アメリカの舞台で試合ができることは、自分にとって絶対にプラスになるはずです。負ける気はないです。ディフェンスの選手が言うことじゃないかもしれないですけど、点取ります」
理想とするのは、セルヒオ・ブスケッツのように中盤で自在にパスを散らしつつ、ヤヤ・トゥーレのように自らボールを運んでゴールまで決めるボランチである。
昨年1月のAFC U-23選手権では、パレスチナとの初戦でハーフライン付近からドリブルとワンツーで相手ゴール前に侵入し、決勝点となる見事な右足シュートを流し込んだ。
今度はそれを、コパ・アメリカで。この半年で溜まった鬱憤を、ブラジルで晴らしてこい。