球体とリズムBACK NUMBER
歓喜の「You'll Never Walk Alone」。
リバプールCL制覇にクロップも万感。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2019/06/02 12:30
胴上げされるクロップ監督がガッツポーズし、熱狂的なファンも沸く。この一体感と情熱こそがリバプールなのだ。
またも“切り札”オリジが大仕事。
それでもトッテナムは準々決勝でマンチェスター・シティ、準決勝でアヤックスを相手に、信じがたい勝利を収めている。どちらも終了間際にドラマが起こった。当然ながら、赤いシャツを着たピッチ上の選手もスタンドのファンも、最後まで気を抜けなかった。
そんな彼らが勝利を確信する瞬間が87分に訪れる。決めたのは、バルセロナとの準決勝第2戦で英雄になったディボク・オリジだ。ジェームズ・ミルナーのCKがボックス内にカオスを生み、こぼれ球をジョエル・マティップが横に滑らせると、58分に投入された背番号27が左足を振り抜き、ボールはサイドネットに収まった。
「本当に感動的な夜だったが、思ったより落ち着いているよ」とCL決勝で3度目の正直を叶えたクロップ監督は話した。
「今夜は両チームにとって大きなチャレンジだった。どちらも3週間、実戦から離れていたのだからね。決勝は結果がすべてだ。選手たちが(昨季の雪辱を)晴らしてくれた。今は勝因を説明したくない。ただこの勝利を楽しみたいんだ」
バルサ、バイエルンを超える優勝回数。
リバプールの欧州制覇は、5回で肩を並べていたバイエルンとバルセロナを超え、レアル・マドリー(13回)とACミラン(7回)に次ぐ6度目に。ここから黄金時代が始まることさえ予想したくなるが、国内外に強敵は存在する。
特にプレミアリーグでは、普通なら優勝しているはずの97ポイントを獲得したというのに、マンチェスター・シティに1ポイントだけ先を行かれた。今日の相手のスパーズ、そしてヨーロッパリーグ決勝で相まみえたチェルシーとアーセナルの存在を考慮すれば、プレミアリーグの隆盛は続きそうだ。
来週にはイングランド代表がネーションズリーグの決勝トーナメントに臨み、そこでも栄冠を視野に捉えている(今度はリバプールのファンダイクとジョルジニオ・ワイナルドゥム、アレクサンダー=アーノルド、ジョー・ゴメス、ジョーダン・ヘンダーソンが敵味方に分かれる)。
フットボール発祥地がいよいよ、全盛期に突入しようとしている。