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浦和に「ようやく光が見えた」日。
湘南戦の悪夢がもたらしたACL完勝。
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2019/05/22 18:15
リーグ戦では苦しんでいる浦和だが、まだ5月。追撃の態勢は整いつつある。
湘南戦で、実は浦和が手にしていたもの。
なぜそのような戦い方ができたのか?
オリベイラ監督は5月17日のリーグ湘南戦で、大幅なターンオーバーを断行し、先発7名を入れ替えた。試合は2-3で敗れたものの、一旦は2点をリードした試合内容は北京戦に繋がるアグレッシブな戦いだった。
「前に出ていく守備という形を湘南戦で示せた」と、湘南戦に出場した柏木が振り返った。
この試合は、湘南のゴールが認められないという誤審と、それにめげずに奮起し勝利と勝ちとった湘南にスポットライトが当たり、浦和について語られることは少なかった。しかし、この試合がACLグループリーグ突破に繋がる重要な1戦だった。
最後尾に立つ西川が説明する。
「リーグ戦もずっと同じメンバーでやってきたなかで、湘南戦は負けはしましたけど、内容的には今までで一番いいんじゃないかという迫力が攻撃にありました。守備も引いて守るんではなくて、前から奪う守備、攻撃に繋がる守備ができていた。
それをスタンドで見て感じるものが、今日出た選手たちにあったと思います。そういう意味でもACLグループリーグ突破は、出場した選手だけでなくチーム全員、みんなで勝ち取ったもの」
「勝ちたい」気持ちが足を引っ張る?
今季の浦和は、埼玉スタジアムでのリーグ戦勝利は、4月20日の神戸戦のみだ。アウェイでは6試合で4勝1敗1分。うち4試合が零封、4試合が1点差での勝利だった。自陣を固める守備で手堅く勝ち点を獲得している。しかし、ホームではそれができない。
「ホームではリーグ戦で全然勝ってない。ホームだから勝ちに行きたくて前がかりになったところをやられたりしている」と西川。
勝てなければ、勇気を持って前へ出ていくことを躊躇してしまう。たとえ勝利できても、耐えに耐えての勝利では心身ともに溜まる疲労も大きくなるに違いない。だからこそターンオーバーで選手を休ませる必要があったのだろう。
代わりに出場した選手たちは、訪れたチャンスで仕事をしたいという闘志と、フレッシュさとで、パワフルな戦いを披露できたのだろう。
「スタンドで試合を見たこともそうですし、休めたことで心身共にリフレッシュできた。休めたのは大きかった」と青木拓矢が語る。