JリーグPRESSBACK NUMBER

ジュビロ黄金期を知る前田遼一は、
J2最下位・岐阜で何を楽しむか。

posted2019/05/22 11:00

 
ジュビロ黄金期を知る前田遼一は、J2最下位・岐阜で何を楽しむか。<Number Web> photograph by Getty Images

今年の10月で38歳となる前田遼一。岐阜という新天地で得るものは多いようだ。

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

PROFILE

photograph by

Getty Images

「イヤイヤ、収穫にはならないですね」

 今季2度目の先発、初めてのフル出場について「収穫か」と問われた前田遼一は、即座にそれを否定し、苦笑した。

 今季、FC東京からFC岐阜に加入。元日本代表への期待は当然大きい。開幕からベンチスタートが続き、負傷離脱もあった。5月5日の琉球戦に途中出場から1ゴール(○2-1)、5月12日の金沢戦も0-2の後半10分にピッチに立ち、2得点(●2-3)と結果を残す。

 そこまでの試合でピッチに立ったのは158分間。放ったシュートは3本のみ。すべてがゴールとなり、シュート決定率100パーセントという記録を残している。

立て続けに失点、前線の前田は孤立。

 そして5月19日のJ2リーグ第14節、ジェフユナイテッド千葉戦で先発出場を果たした。

「今までの試合では、結構押し込まれる展開が続いていたので、あまり引かずに前で頑張ろうと試合に入りました。でも、結局、前で戦うわけでもなく、起点にもなれなかった。セットプレーで失点してからは、戦い方がわからなくなった」

 この日の対戦相手、千葉も岐阜同様に下位で苦しんでいた。13節終了時点で千葉の勝ち点は14、岐阜は12。試合開始直後は岐阜に勢いがあり、前線でボールを奪いゴールに迫るシーンも見られた。しかし10分、セットプレーから失点すると、12分、22分とゴールを許す。プレスも効果がなく、相手攻撃陣に翻弄され、為す術もない。

 組織だけでなく、球際など、選手個々が気持ちを見せていく場面でも、千葉に飲み込まれていた。

 前線に立つ前田も、ボールを触るシーンがほとんど巡ってこなかった。何度かクサビのパスを受けるシーンはあったが、ボールを持って前を向く好機はまったくなかった。

 自分が下がれば、さらに押し込まれるかもしれない。チャンスを作るには、たとえ孤立したとしても、前に残っているべきか。しかし間延びしてしまえば、それもピンチを招く。チームの一員として、どうするのが最善かを考えていたはずだ。

【次ページ】 円陣の中心でチームを鼓舞。

1 2 3 4 NEXT
#前田遼一
#FC岐阜

Jリーグの前後の記事

ページトップ