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浦和に「ようやく光が見えた」日。
湘南戦の悪夢がもたらしたACL完勝。
posted2019/05/22 18:15
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
AFLO
「We are REDS」
試合終了まで5分を切ったとき、埼玉スタジアムを埋めた約2万人のサポーターの声が響いた。すでに勝利を確信した、そんなコールだった。
0-0での引き分け以外、勝利しなければ突破が決まらない。ACLグループリーグ最終戦対北京国安戦。2位突破を賭けた両者の戦いは、激しくそして静かに始まった。
開始早々に柏木陽介が足を痛め、13分には長澤和輝との交代を余儀なくされる。セカンドボールが拾えず苦しい時間帯が続くが、西川周作のファインセーブもあり、チーム全体からは落ち着いた空気が感じられた。ゴール裏のサポーターの声が、選手たちを支えているようにも思える。
そして34分、縦パスに反応した長澤が中央突破から先制弾を決める。41分には自身でボールを運んだ長澤がペナルティエリア中央へ出したパスを、武藤雄樹が決めて2-0とリードを広げて前半を終えた。
この時点で、浦和が突破するためには勝利が絶対条件となった。2-2の引き分けでは相手の突破が決まる。
ホームでは4月20日以来の勝利。
そして後半も、浦和は3点目を狙い続けた。当然、ゴールを狙う北京の猛攻で自陣に押し下げられる時間帯もあったが、押し返そうとラインを上げ、ボールを奪えばゴールに迫った。
後半36分、山中亮輔、武藤と繋がったパスをフリーで受けた興梠慎三が3点目を決める。3-0での完勝で浦和のグループリーグ突破が決まった。
ホームではこれで3勝目。4月20日の神戸戦以来の勝利だ。3ゴールは今季最多得点数である。
オリベイラ監督が振り返る。
「試合を通じて効果的な守備ができ、ゴールシーンは正確なプレーができた」
高い位置でボールを奪うと、シンプルに前へ向かう。そんなプレーは、北京を慌てさせた。縦に速い。美しい攻撃がゴールに繋がった。
「全員がハードワークできたし、前からアグレッシブに戦えた。引いて守るんじゃなくて、前から行く。そういう考えがチームに生まれた」と興梠は話す。