球体とリズムBACK NUMBER
プレミア隆盛、CL&EL独占は史上初!
“基準”を変えたシティとペップ。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byUniphoto Press
posted2019/05/16 11:15
勝ち点98で今季のプレミア王者に輝いたマンチェスター・シティ。CL制覇は逃したが、改めて強さを見せつけたシーズンとなった。
プレミアリーグの競争力。
「ここ(イングランド)のレベルは非常に高いんだ」とチェルシーのマウリツィオ・サッリ監督はEL準決勝第2戦後の記者会見で語った。60歳のイタリア人指揮官が今季から率いるブルーズは、長谷部誠を擁するアイントラハト・フランクフルトをPK戦の末に下し、最後の切符を手にしている。
「たとえば今季のリーグカップ(カラバオ杯)で、我々は決勝にたどり着くまでにリバプールとトッテナム──CLのファイナリスト2チーム──を倒さなければならなかった。そして決勝では、欧州最高のチームと私が考えるマンチェスター・シティと対戦したのだ(PK戦の末にシティが勝利)。レベルがとても高いことは、あなたたちにも理解できるはずだ」
CL準決勝でアヤックスを相手に劇的な逆転突破を果たし、クラブ史上初のCL決勝に臨むことになったトッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノ監督も次のように同調する。
「CLとELの決勝を(イングランドの)4チームが争うのは、我々にとってすごく良いニュース。プレミアリーグの競争力の高さが示されたわけだ。世界一のリーグはどこか。今、その答えは明白であり、多くの人が同じように考えている」
「我々はスタンダードをつくった」
彼らの見解を疑う必要はないかもしれない。けれども、少し前にはそのリーグの高い競争力が、イングランド勢の国外での不振につながっていると指摘されたこともあった。
負けているときはマイナス要因とされ、勝つようになってからはポジティブな理由になる。なんとなく腑に落ちなかったところに、ペップ・グアルディオラ監督のこんな言葉を見つけた。
「我々マンチェスター・シティは昨季、(プレミアリーグの)スタンダードをつくった。(優勝するために)以前は勝ち点90くらいが目安だったが、今は100に迫る必要がある」
<4月24日『ガーディアン』紙>
ペップ政権3年目の今季、シティはCL準々決勝でトッテナムに敗れ、またしても悲願の欧州制覇には届かなかった。しかし、彼らはプレミアリーグでリバプールとの極めてレベルの高いデッドヒートを制して、クラブ史上初のリーグ連覇を達成している。
「ウサイン・ボルトが100メートル走で優勝したとき、それがスタンダードとなり、他の選手のハードルは上がった。(ゴルフの)ジャック・ニクラウスやタイガー・ウッズも同じだ。(プレミアリーグでは)シーズンで100ポイント。優勝したければ、そこに迫らねばならない」