ビッグマッチ・インサイドBACK NUMBER
アヤックス&バルサ優位と“古巣対決”。
プレミア勢、逆転CL決勝の望みは?
posted2019/05/05 12:30
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph by
Getty Images
さすがは欧州最高峰のベスト4。どのチームも、見応えのあるパフォーマンスをした。
だが、今大会を盛り上げたイングランド勢の進撃はここまでか。4月30日、5月1日に行われたチャンピオンズリーグ準決勝のファーストレグは、トッテナムがホームでアヤックスに0-1で敗れ、リバプールはアウェーながらバルセロナに0-3と大きな差をつけられた。
トッテナムは、アヤックスの勢いを止められなかった。レアル・マドリーとユベントスを打ち破ってきたパフォーマンスがフロックでないことを、ロンドンの地でも証明されてしまったのだ。
トッテナムは特に前半の30分頃まで、プレッシングに対しても落ち着きを失うことなくゲームをコントロールしていくアヤックスのパスワークに翻弄された。
15分、右サイドから中央にかけてパスで進軍されると、ハキム・ジエフにスルーパスで中央をこじ開けられ、最後は中盤から飛び出してきたドニー・ファンデベークをDF陣が捕まえられず、ウーゴ・ロリスとの1対1を決められてゴールを許した。
“怪我の功名”で戻った活力。
マウリシオ・ポチェッティーノ監督いわく「エネルギー不足だった」という前半のおよそ30分間を経て、ようやくスパーズに活力が戻ってくるのだが、それは皮肉にも“怪我の功名”からだった。
ヤン・ベルトンゲンが脳震とうによる交代を余儀なくされ、ムサ・シッソコを投入して3バックから4-3-1-2にシステムを変更して中盤に厚みを持たせてから、スパーズは試合のペースを徐々につかんでいくことになった。
そうして前半は6:4でアヤックスだったボールポゼッションを後半は逆転させたものの、トッテナムはあと一歩が足りなかった。
ハリー・ケインが負傷離脱中、ソン・フンミンも累積警告による出場停止で不在だった前線はフィニッシュのシーンで迫力を欠き、フェルナンド・ジョレンテの高さ、ルーカス・モウラの速さを生かそうという意図こそ見えたが、どこか単調。19歳の主将マタイス・デリフトが中心となって守るアヤックスの牙城を最後まで崩せなかった。
おそらく最初から前半勝負のプランだったアヤックスは後半に疲労も見え隠れしていたが、トッテナムにはそれでもゴールを奪うだけの攻め手がなかったのだ。そうして、アヤックスが先勝を手土産にホームへと帰ることになったのだった。