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バド女子ダブルスの熾烈な五輪争い。
藤井瑞希が解説する日本勢の強さ。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO
posted2019/05/01 09:00
福島由紀(前)と廣田彩花の世界1位のフクヒロペアですら五輪が安泰ではないほど日本代表争いはハイレベルだ。
「最後はふたりで乗り越えるしかないんだよ」
日本代表として国際大会に出場する場合、監督やコーチらのスタッフが同行する。試合の合間にコートサイドでアドバイスを受けられるが、日本人ペアの対戦にはスタッフが関わらない。選手だけで戦略を練り、勝利を手繰り寄せなければならない。
「だから、パートナーとの信頼関係が必要なんです。選考レースの対象大会では絶対に日本人同士が対戦するので、所属先のチームの監督やコーチには『最後はふたりで乗り越えるしかないんだよ』と言われていました」
1年に及ぶ壮絶なサバイバルで、選手たちは心身ともに激しく消耗する。大会を終えるたびに絞り込まれた身体がさらに痩せ細り、見た目にもゲッソリとすることさえあるという。
全身に突き刺さるようなプレッシャーを感じ、ライバルとのポイント差に恐怖さえ覚えながら、選手たちは目の前の大会に挑んでいく。逃げ出したくなるほどの重圧と向き合う1年間の先に、東京五輪の表彰台に立つ自分たちがいると信じて──。