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バド女子ダブルスの熾烈な五輪争い。
藤井瑞希が解説する日本勢の強さ。
posted2019/05/01 09:00
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
AFLO
世界でもっとも過酷と言っていい東京五輪へのサバイバルが、4月29日に幕を開けた。
バドミントンの女子ダブルスである。
世界のバドミントン界において、日本の女子ダブルスは巨大な勢力となっている。リオ五輪で史上初の金メダルを獲得した高橋礼華と松友美佐紀とのタカマツペアがいて、全日本総合選手権で2連覇を達成している福島由紀と廣田彩花のフクヒロペアがいる。昨年の同選手権で、フクヒロペアは決勝でタカマツペアを退けた。
そのフクヒロペアを昨夏の世界選手権決勝で破ったのが、永原和可那と松本麻佑のナガマツペアである。女子ダブルスでの日本女子の優勝は、1977年以来41年ぶりだった。
4月の世界ランキングでは、フクヒロペアが1位、ナガマツペアが2位、タカマツペアが3位となっている。
出場枠は2つ、世界トップ10に4ペア。
では、女子ダブルスの五輪出場枠はいくつあるのか。
世界ランキングの8位以内に2組以上がランクしていれば、2組が出場できる。この条件は間違いなくクリアできるはずだが、日本の女子ダブルスが三つ巴の戦いかと言えば、決してそうではないのである。
6位には米元小春と田中志穂のヨネタナペアがいる。彼女たちも昨年の世界選手権で3位に食い込んでいる。12位、13位、15位にも日本人ペアがいる。
日本の女子ダブルスが、かくも世界を席巻しているのはなぜか。2012年のロンドン五輪で銀メダルを獲得したフジカキペアのひとり、藤井瑞希さんに聞いた。藤井さんは今年2月の国内大会を最後に、現役を退いている。
「私と垣岩令佳のペアは、末綱聡子さんと前田美順さんのスエマエペアを間近で見ながら練習をしていました。'08年の北京五輪で世界ランキング1位の中国ペアに勝って、日本のペアで初めてベスト4に入ったふたりのレベルを目ざせば、世界のトップになれると思うことができました。リオ五輪で金メダルを獲ったタカマツペアも、私たちのレベルを目ざしていたそうです。
日本国内に世界基準のペアがいるのはすごく大きいし、タカマツペアがリオ五輪後も競技を続けてくれたことで、その他の選手たちも「タカマツペアに勝てば五輪の金メダルを狙える」って気持ちになれる。それが、女子ダブルスのレベルの高さにつながっていると思います」