炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープ復活を支える謙虚な新外国人。
流れを切り、長い回を投げる仕事。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2019/04/22 11:50
188センチの長身から投げ下ろされる150キロを越えるストレートと“ハンマーカーブ”などを武器とするレグナルト。
“シンカンセン”という素晴らしい乗り物。
米国ではドラフト指名されなかったが、メジャーのマウンドを信じて独立リーグ、マイナーリーグで6年プレーした。メジャーのマウンドは「夢舞台」のままだが、成功を信じて海を渡った。
広大なアメリカ大陸を横断、縦断しながらシーズンを戦ってきたことで、たくましさを自然と身につけた。セ・リーグで最も西に本拠地を置く広島を拠点とした移動など苦にしない。
「不満は全くありません。米国でクレイジーな移動も経験していますから(笑)。それに日本には“シンカンセン”という素晴らしい乗り物もあるので、快適に移動しています」
駅でコーヒーを購入し、車内では音楽や映画を鑑賞。ストレスを解消し、リラックスした時間を過ごす。
鹿児島での試合後、熊本までの約2時間30分のバス移動も「長いと聞いていたけど、非常に楽だった」と言うから、たくましい。
春季キャンプから休日を返上して汗を流す姿もたびたび見られるが「自分にとって必要だと思ったから」とさらりと言ってのける。
緊張した「満員のスタジアム」。
米国ではスタジアムが満員の中での登板こそなかったが、日本では連日満員となる中での登板が続く。開幕直後の不安定さに影響した遠因とも言える。ただ、登板を重ねるごとにそういう環境にも慣れ、今では「非常に力になる。マツダスタジアムはもちろん、どこの球場でも満員。そういう中で投げるのは心強い」とうなずく。
レグナルトの復調と、チームの浮上は重なった。左腕の出番は、首脳陣から「流れを変えたい」という思いを託される場面だ。
緒方孝市監督は「本当は1イニングをコンスタントに投げてもらいたいが、選手起用にはチーム事情もあるから」と目立たぬ貢献に感謝する。