“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
尚志FW染野唯月は凄みを増した。
衝撃のハットにも「もう驚かない」。
posted2019/04/15 07:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
圧巻のハットトリックだった。
高円宮杯プレミアリーグEAST開幕戦、尚志高校vs.柏レイソルU-18の一戦で、プロ注目のストライカーが度肝を抜くプレーをやってのけた。尚志のエース・染野唯月は、複数の強豪J1クラブが獲得レースを繰り広げている注目のストライカーである。
高1の時から「尚志に面白い選手がいる」と話題になっていたが、「超目玉」として躍り出たのは、昨年度の高校サッカー選手権の活躍があったからだろう。2年生ストライカーとして出場すると、3回戦の前橋育英戦での選手権初ゴールを皮切りに、準々決勝の帝京長岡戦では2戦連続となる決勝弾。チームを2011年以来となる2度目のベスト4に導いた。
青森山田戦、衝撃のハット。
何よりプロのスカウト達を虜にしたのが準決勝の青森山田戦だった。CB三國ケネディエブス(現・アビスパ福岡)を軸に堅守を誇る相手に、染野はハットトリックを決める。
1点目は右FKから。ゴールに向かってくるグラウンダーのボールに、飛び込んだ染野がワンタッチで鮮やかに合わせた。2点目は右サイドからの折り返しを、コースを消しにきた相手DF3人とGKを深い右足の切り返しで交わし、バランスを崩しながらも左足でゴールネットに沈めた。
圧巻はショートカウンターからの3点目。左サイドを駆け上がると、相手CBとSBの間にできたスペースへ加速。スルーパスを呼び込むと、GKの位置を冷静に見極め、ダイレクトでコントロールショット。ゴール右隅に突き刺した。
右足・左足・右足、クロス・折り返しからの個人技・裏への抜け出し、とすべて違うパターンで決めたハットトリック。試合は3-3のPK戦の末に敗れたが、この活躍は大きな衝撃となった。「染野唯月の大会」といってもいいほどだった。