“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
高3FW西川潤、久保建英の背中を追う。
「僕には悔しさをぶつける場所がある」
posted2019/06/27 10:30
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
インターハイ神奈川県予選準決勝。
激しい雨が降る中、相模原ギオンスタジアムで行われた桐光学園高校vs.日大藤沢高校の一戦。
注目のストライカー西川潤(3年)擁する桐光学園が、延長戦を含めた100分間の激闘の末に1-0の勝利を収め、2年連続となるインターハイ出場を手にした。
「おそらく“日本一忙しい高校生”だと思います。4つの異なる場所でのプレーは、環境が目まぐるしく変わりますし、心身ともに相当な負担はあると思います。ですが、ここを抜けたら、見えてくる世界は一気に変わるのでは」
視察に来ていたC大阪の関係者もこう口にするほど、西川は目まぐるしい変化の中に身を置いている。
4つのカテゴリーでプレー。
昨年はU-16日本代表のエースストライカーとして、マレーシアで開催されたAFC U-16選手権で優勝(大会MVP)。3月にはC大阪への2020年シーズン加入内定が発表されると、特別指定選手としてすぐにルヴァンカップ、さらにJ1リーグ第7節・北海道コンサドーレ札幌戦に出場した。香川真司、南野拓実よりも早い、クラブ史上2番目の若さでJリーグデビューだった。
また、昨年12月にはU-20W杯出場を控えたU-19日本代表のブラジル遠征に初招集され、それ以降U-20日本代表に定着。W杯本大会メンバーにも選出され、ポーランドではスタメンの2試合を含む、3試合に出場した。
“本業”の桐光学園では1年から10番を背負い続け、今季からはキャプテンに就任。まさに日本一忙しい高校生だ。
「正直、きつさを感じることはあります。環境が変わるのはもちろん、立場や戦術は違うし、周りの選手のレベルも違う。その変化に惑わされることなく、自分を持ち続けながら、順応するために戦術、仲間に合わせるプレーを身につけないといけない。このサイクルを繰り返せば力もついていくと思うけど、今はしんどさを感じることは正直あります」
日大藤沢戦後、メインスタンド下のコンコースの端っこで、桐光学園の水色のジャージを着た彼は、正直な胸の内を明かしてくれた。