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[最強高校部活探訪・初回スペシャル]
東福岡高校、日本一のブカツ道。
posted2016/07/21 07:00
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
Hideki Sugiyama
日本一の経験がある部活を訪ねて、その理由を探っていく。
初回は、東福岡高校サッカー部とバレー部の強さの秘密。
Number906号掲載の“日本一の最強スポーツ高校”特集を全文掲載します!
全校生徒数2640人の東福岡高校は、九州最大級の規模を誇る私立男子校である。
2010年に完成した煉瓦色の新校舎は、男子校というより女子大のような雰囲気だ。前庭やテラスの草花には手入れが行き届き、すれ違う生徒たちもしおらしく見える。
校長の松原功が言う。
「うちはほとんどの生徒が進学希望ですからね。スポーツ学校だと思っている人も多いんですが体育コースなんてありませんし、古臭い言葉ですけど『文武両道』を追求しなさいと生徒たちには言っています」
スポーツ学校と言われてしまうのも無理はない。バレー部が春高バレー連覇を達成したのが今年1月10日。翌日にサッカー部も選手権決勝を制し、インターハイとの2冠を成し遂げた。ちょうど1年前にはラグビー部が全国優勝。2年続けて年始のニュースで校名が連呼され、「東福岡=スポーツ」の図式は日本中に強く印象づけられた。
教室内で日本代表級の各部活の選手が刺激し合う。
なぜ部活が強いのか。率直に質問をぶつけると、松原校長は少し困ったように言う。
「一番は子どもたちが頑張ったからですよ。まあ、そう言ったところで皆さん納得しませんけども。ハード面というのは一つ言えることだと思います。グラウンドは全面人工芝ですし、練習環境はできる限りのことをしようと思って整備してますので」
緑鮮やかなグラウンドは確かに立派だが、強さの秘密がそれだけであるはずがない。
私学のスポーツ強豪校につきまとうのは、「学校の宣伝のために優秀な選手を集めている」という、偏見に近い先入観だ。
「よく言われます。でも全国優勝したから生徒が集まるなんてとんでもない。保護者や生徒の最大のニーズは進路保証なんです」
松原校長は続ける。
「一つの教室にいろんな部活の日本代表に選ばれるような生徒がいる。お互い情報交換したりしながら刺激し合っているという話は耳にします。それは教員も同じ。うちは部活の指導者は原則として教員ですが、職員室に日本一の監督がいるわけですから、聞きたい時にいつでも話が聞けるんです」