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ひねり王子+ド根性男の白井健三。
足首痛を押してのW杯3位に「幸せ」。
posted2019/04/15 07:30
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
AFLO
高難度の技を簡単にやってのける天才。そんなイメージが定着している“ひねり王子”が、ド根性という新たな一面を自らに付け加えた。
体操の個人総合で争うワールドカップ東京大会が4月7日、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで行なわれ、左足首の負傷を押して出場した白井健三(日体大大学院)が合計82.964点をマークして3位に食い込んだ。
「体操ができる幸せを感じました。今はとにかく無事に終われて良かったという気持ちでいっぱいです」
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言葉通り、満面に笑みを浮かべていた。左足首の負傷の影響で、試合に出られるかどうか、ギリギリの判断での出場。その中で6種目をやりきった充実感があった。
左足首の状態は思わしくなかった。
2月第2週の練習中に左足首を負傷し、3月のアメリカンカップを体操人生で初めて欠場した。その後は急ピッチの回復につとめたが、3月下旬に同じ箇所を再び痛め、歩くこともままならないほどの窮地に追い込まれた。けれども、どうしても出たいとの思いは、どんどん膨らんだ。
「トレーナーさんや先生方など、周囲の80%から『出ない方が良いのではないか』と言われました。でもアメリカとまったく同じパターンを過ごしたくなかった。ボロボロになってもいいから出たいという気持ちがありました」
大会に臨むまでの道のりを白井が克明に振り返る。
「着地を始めたのが先週の土曜日(3月30日)、ゆかと跳馬を始めたのが火曜日(4月2日)で、ここまでゆかを蹴ったのは3回だけ。その状況で試合するのは、ありえない話でした」
出場を反対する声は大きかったが、同時に白井の気持ちを尊重し、サポートしてくれる人々が多くいた。最終的には畠田好章監督との話し合いで「全日本個人総合選手権(4月26~28日)のために、ここでやっておこう」と決めた。