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平岩優奈は24歳で…女子体操選手の“引退”はなぜ早い? 体重制限で“燃え尽きる”リスクも…指導者の意見「こういう競技なので軽やかな方が」
posted2023/02/24 17:15
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
JIJI PRESS
2月14日、体操の平岩優奈が現役引退を発表した。
平岩は2021年の東京五輪の代表選手だったが、代表に至るまでの道のりもあって、注目を集めた一人だ。高校1年生だった2014年、世界選手権の代表に選出。当時のメンバーでは最年少でもあり、将来を嘱望された。だが開催地入りしてから負った怪我により欠場を余儀なくされ、その後成績は伸び悩んだ。2018年の全日本選手権で55位に終わったことは象徴的かもしれない。そこから這い上がって五輪代表の座をつかみ、同じ年の世界選手権にも出場。2014年に立てなかった舞台に上がることができた。
その後は大会の欠場なども相次ぎ、引退を表明した。その理由も綴っている。
「オリンピックや世界選手権に出場できたのでその点においては夢を叶えられて良かったのですが、その後のモチベーションの維持が難しくなったため引退することを決めました」
55位にとどまったところからオリンピックにたどり着くまでの時間の密度は高かっただろう。燃焼し尽くした面もあったかもしれない。
24歳は「早すぎる引退」か?
平岩の引退は、競技から退くことを惜しむ声とともに2つの側面でも反響を呼んだ。
1つは、これで東京五輪団体のメンバーは、村上茉愛(24)、畠田瞳(20)、杉原愛子(21)も含め全選手がひとまず第一線から離れたことだ(カッコ内の年齢は五輪開幕時)。
オリンピックの団体から代表経験者がいなくなったのは、さかのぼると1984年ロサンゼルス五輪がある。ただこのときは1980年モスクワ五輪を日本がボイコットしたという特別な事情があってのことだ。以降必ず経験者がいたが、2024年パリ五輪団体には経験者不在で臨むことになり、その点を不安視する声が上がっている。
もう1つは、平岩が24歳という若さで引退したこと。体操女子の世界では「早すぎる引退」という年齢ではないが、他競技と比べれば「早いな」と感じる声が上がるのも理解できる。そしてこの2つは、関連していることでもある。