猛牛のささやきBACK NUMBER
オリ山岡、新球フォークを解禁。
究極のエースは「24連勝のマー君」。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKyodo News
posted2019/03/22 10:00
今季副キャプテンを務める山岡。開幕に向け、順調な仕上がりを見せている。
開幕投手に対する興味は……。
「野球が楽しくなくなった時は、辞める時」と言う山岡は、発する言葉1つから、常に駆け引きを楽しんでいるように見える。
自分の考え方を持っている山岡は、こだわるものと、こだわらないものがハッキリしている。例えば――。
こだわらないものは、開幕投手。
こだわるものは、エース。
昨年の開幕前、開幕投手への興味を聞くと、「ないです」と即答した。
「開幕戦が一番大事なんですか? 単に143試合の最初の試合ですよね。全チーム、ゼロの状態。そこで勝った3チームが1位、負けた3チームが4位になる。これだけですよね。143試合目の最後に、そこで順位が決まるっていう試合の方が絶対に重たいですよ。
それに開幕戦よりも、むしろ開幕3戦目で投げる方がきつい。だってもし(1、2戦目が)負け、負けで来て、万が一3戦目も負けて3連敗したら……。1勝1敗で来た場合も『開幕3連戦は絶対に勝ち越して終わりたい』となっている中で、3人目に投げる人が一番きついですよ。ま、(開幕投手は)一生に1回ぐらいはやってみたい、というものじゃないですか」
金子と西がいなくなった中で。
今年、山岡は開幕投手に内定しているが、今も考えは変わらないと言う。
「投げる日が決まっているし、もう(公にも)言われているので隠さなくてもいいから、準備はしやすいですね」
オリックスで過去2年とも規定投球回数を上回った投手は山岡しかいない。昨年までローテーションの柱となっていた金子弌大と西勇輝が移籍で抜けた今年、23歳の山岡が投手陣の柱と期待されるのは自然の流れだった。
1年目は8勝11敗、防御率3.74、2年目は7勝12敗、防御率3.95。負け越しているが、打線の援護に恵まれず勝ち星が伸びなかった面もある。
昨年は7月まで2勝10敗と苦しんだが、中継ぎを経験したことを機に後半戦は立て直した。身長172cm、68kgの小柄な体をムダなく使って投げ込む最速152kmのストレートには威力があり、多彩な変化球を操る。ボールの回転数など球の質を追求する意識が高く、コンディショニングも自分のやり方を確立している。