猛牛のささやきBACK NUMBER
オリ山岡、新球フォークを解禁。
究極のエースは「24連勝のマー君」。
posted2019/03/22 10:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Kyodo News
また、「山岡、新球種」の季節がやってきた。
昨年の開幕前、オリックスの山岡泰輔は、縦のカットボールを解禁し、こう語っていた。
「例えば、1年に1回、春先に『新球種』って記事に出ると、周りのチームは絶対に頭に入ると思う。もちろんその球が、バッターが張らないと打てないぐらい、張っても打てないぐらい完成していないとダメなんですけど、そうなっていれば、自分の持ち味のスライダーやチェンジアップが相手バッターの頭から消えて、生きてくるんです。
今回も(打者は)縦カットばかりが頭に入っていて、本来、スライダーが頭にあるべきものなのに、消えかかっているから、ボール球でも振ってくれる。プロはそういう駆け引きの場だと思う。球種があればあるほど、スライダーが消えて、スライダーを投げたらまた思い出す。そうするとまた違う球種が消える、となるのをずーっと繰り返していけば、バッターって絞れないんじゃないかと思うんですよ」
プロ3年目の今年の新球は“フォーク”である。春季キャンプ中に解禁し、オープン戦でも投げて打者の反応を確かめている。
「半分遊びっす。使えたらいいな」
昨年の時点で、まだ開けていない引き出しがいくつもあると語っていた。その1つがフォークだったのだが、たくさんの引き出しの中から、今年なぜフォークを選んだのかと聞くと、「気分!」と言って笑った。
昨年そうした球種が足りないと感じたから、というわけでもないと言う。
「だって、フォークがあれば抑えられた、というデータはないから。自分の感触として、『あ、もうちょっとで投げれるんじゃないかな』というボールもあれば、『これまだダメだな』というボールもある。
その中でたまたま今年、これ使えるかな、と思ったボールがフォークだったというだけ。だから“気分”ですね。半分遊びっす。使えたらいいなっていう。だからシーズンで使うかどうか、まだわかんないですよ」
そう言ってほくそ笑んだ。