甲子園の風BACK NUMBER
選抜不出場でも大阪桐蔭の美音が!
東邦アルプスで異例の助っ人応援。
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byYukiko Umetsu
posted2019/02/22 08:00
今や甲子園の定番と言える大阪桐蔭のブラバン。チームは不出場でも東邦の応援で鳴り響く!
東邦独自の“ロッテ応援”。
東邦の応援は、千葉ロッテマリーンズの応援曲を多用することでも知られている。野球部が気に入っており、吹奏楽部にリクエストするからだ。
また、マーチング特有のパーカッション使いやキビキビとした動きを取り入れるなど、吹奏楽部出身の筆者から見ても非常に難易度が高い。つまり、実力のある吹奏楽部じゃないと、再現が難しいのだ。
アルプススタンドでブラバン応援を観るのが趣味の筆者は、毎回必ずといっていいほど友情応援を担当する吹奏楽部に遭遇する。移動経費のかかる遠方の学校や、今回のように事情があって自校の吹奏楽部が来られない場合。そして、「自校の吹奏楽部の人数が少なくて助っ人を頼む」というケースがほとんどだ。
関西の吹奏楽部に頼むのが大半だが、もっとも多いのが、「吹奏楽部顧問の知り合いの学校にお願いする」というパターン。東海や日大系列の高校は、関西近郊の系列校が担当することも多い。
前出のとおり愛知県内の学校に頼めなかったことから、白谷氏は関西の学校に依頼しようと考えたが、1校もツテがなかった。県内の吹奏楽部同士だと演奏会や大会で一緒になる機会もあるが、「県外の吹奏楽部とはまったく交流がない」という部はとても多い。
友情応援の定番、市立尼崎も……。
そこで、白谷氏から相談を受けた筆者は、真っ先に“友情応援のプロ”こと、尼崎市立尼崎高校吹奏楽部に連絡した。
同校は、沖縄代表校の応援を毎回担当しており、これまでに経験した友情応援は実に130回以上。困っている学校があればすぐに引き受けてくれるのだが、今回は沖縄勢が出場できなかったこともあり、選抜期間中は、既に演奏会などの予定を入れてしまったという。
「東邦さんがいない間、どこか数日だったら担当できるんですけど、1週間全部を空けるのは無理なんですよね……。ぜひ引き受けたかったです」と、尼崎市立尼崎高校吹奏楽部顧問・岩山悦志氏は残念がっていた。