甲子園の風BACK NUMBER
選抜不出場でも大阪桐蔭の美音が!
東邦アルプスで異例の助っ人応援。
posted2019/02/22 08:00
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph by
Yukiko Umetsu
「We are 東邦!」「T・O・H・O! T・O・H・O! 東邦!」
拳を突き上げ、腹の底からコールするアルプススタンド。高校野球応援で人気の、「SHOW TIME」(湘南乃風)から始まる、東邦の名物応援だ。ところが、3月23日から始まる第91回選抜高校野球大会でこの名物応援が観られないという。
この事実を知ったのは、出場校発表後の1月下旬のことだった。
応援を担当するのは同校吹奏楽部のマーチングバンドコース。顧問の白谷峰人氏に「選抜出場おめでとうございます。応援、楽しみにしていますね」と連絡したところ、「ありがとうございます。それが実は、今回は応援に行けなくて困っていて……」というので、事情を聞いたところ、フロリダ遠征と日程が重なってしまい、応援に行くことができないということだった。
アメリカやオーストラリア、ニュージーランドなど、強豪吹奏楽部の海外遠征は珍しくない。冬休みや春休みなどの長期休みを利用し、現地の演奏会やパレードなどに参加。生徒たちはさまざまな経験を積んで、音楽の幅を広げて帰って来る。多感な時期に海外の音楽に触れるのは、子どもたちにとっても大変いい経験になり、大いに刺激を受けるはずだ。
2年前からフロリダ遠征が決定。
今回のフロリダ遠征も約2年前から決定しており、2年後に野球部が選抜に出場できるかどうかなど予測のしようもなく、マーチングコースにとってもやむを得ない事情だったのだ。
説明するまでもなく、同校はこれまでに何度も甲子園に出場している名門校だ。「アルプススタンドで吹奏楽の応援ゼロはありえない」と、白谷氏は愛知県内の複数の吹奏楽部に応援を打診してみたが、あいにくどこもスケジュールが合わなかった。
マーチングの遠征は3月21日から30日までで、現時点では選抜の組み合わせが決定していないため試合日は未定。当然ながらどこまで勝ち進むことができるかもわからない。
同校としては、できればすべての試合の応援を1つの学校に依頼したいため、「手伝ってあげたい」と思っても、23日の開会式から30日まで、1週間スケジュールが確保できる吹奏楽部でないと引き受けることができないのだ。