【NSBC補講I】 池田純のスポーツビジネス補講BACK NUMBER
アスリートが現役を退いた後の人生。
池田純「人に憧れられる生き方を」
posted2019/02/20 07:00
text by
池田純Jun Ikeda
photograph by
Getty Images
2月、プロ野球の世界が一気に動き出しました。
九州や沖縄からのキャンプレポートが連日報道され、来たるべき新しいシーズンへの期待が膨らんでいく時期です。
と同時に、いろいろな「人事異動」にも、目が行くようになります。新人選手への注目はもちろんのこと、監督コーチ陣の交代もまた、この時期の風物詩といえます。昨年までスーツ姿で球場に足を運んでいたプロ野球選手OBが、今年は思いもよらない色のユニフォームを着ていたり……。
そしてもちろん、その逆もあります。球団のスタッフから、フリーとして新たな肩書きを得て活動する人です。たとえば、巨人の高橋由伸前監督は、ジャイアンツの球団特別顧問となり、「野球解説者」や「野球評論家」として、引き続き野球の現場で仕事をするようですし、広島カープの「お兄ちゃん」、新井貴浩選手は、亡くなられた衣笠祥雄さんの後を継ぐような形で、TBS系列の「野球解説者」として活動しています。
そういった「解説者」「評論家」というのが、現場を離れた元選手や元コーチの次の仕事としてはよくあるスタンダード、といえるように思います。とはいえ、スポーツ新聞やテレビ・ラジオ局の専属解説者の枠は限られていますので、この「解説者」や「評論家」というポジションには競争があり、知名度や人気なども問われます。やりたくてもやれないプロ野球関係者が多いこともまた事実です。
「夢のキャリア」をもっと見たい。
ただ、この毎年毎年の“人事異動”の光景を観ていると、少しもったいないなという印象を受けます。
彼らは確かに、野球のエキスパートとしてこれまでのキャリアを築き上げてきた人ではあります。でもそれ以前に、1つのスポーツに打ち込んだ、という大きな財産があるのです。
その財産をもっと広い場所で活かして、新しいキャリアを切り開いてほしい――そんな、「みたこともない夢のキャリア」を切り開いていくパイオニアがもっともっと出てきてほしい。そうなることで、スポーツ選手のセカンドキャリアの世界が大きく広がっていくのではないかと思っているのです。