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「4番・岡本和真」ついに結実の年。
原・高橋両監督はどう育ててきた?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/02/16 11:30
宮崎キャンプで大いに話題となった、岡本和真が紅白戦で放った特大2ランホームラン。
原監督の鶴の一声があった。
「岡本がいいらしいじゃないですか」
会議室に入ってくるなり発した、この言葉で空気は一変した。
名門・智弁学園で1年生の秋から4番を任され、高校通算73本塁打をマークしていたスラッガーの名前だった。
3年の夏の甲子園大会では1回戦で敗退して、あまり話題にはならなかったが、巨人のスカウトの間でも「将来性なら岡本」と高い評価を得ていた存在でもあったのだ。
「きちっと育てれば、将来は必ず巨人の大黒柱を担う選手になる。それだけの才能を秘めた選手だと思う」
原監督のこのひとことで会議の流れは一気に岡本へと傾いた。
3日後のドラフト会議では有原に4球団、安樂に2球団が重複する中で、巨人は岡本を単独で1位指名。こうしてこの「将来の4番候補」の獲得が決まったのである。
もし、あのときに原監督が「岡本」の名前を言っていなければ、果たしていまの「巨人・岡本」がいたのかどうか。そういう意味では巨人という畑に、岡本というタネを蒔いたのはまさに原監督、その人だったのである。
そしてそのタネを育て、芽を出すまでに育てあげたのは、原監督から2016年にバトンを受けた高橋由伸監督だった。
4番を任された2018年。
2018年のシーズン。
プロ4年目を迎えた岡本は打率3割9厘、33本塁打、100打点を記録し、「不動の4番」へと成長した。
だが、4番として結果を残した中で、最大のピンチは6月26日の広島戦の第3打席で空振り三振してから、7月5日のDeNA戦の第2打席で左越え二塁打を放つまで32打席連続無安打が続いた長いトンネルだった。