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「4番・岡本和真」ついに結実の年。
原・高橋両監督はどう育ててきた?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/02/16 11:30
宮崎キャンプで大いに話題となった、岡本和真が紅白戦で放った特大2ランホームラン。
高橋監督が心に決めたこととは。
「一度4番に据えたら絶対に外さない」
6月2日に初めて4番に起用したときに、高橋監督が心に決めていたことだった。
「結果が出ないからといって4番を外して、逃げさせることは簡単かもしれない。でも、岡本は4番になったら絶対に逃げさせない。たとえ壁にぶつかっても、その壁を自分の力で乗り越えない限り、本当の4番にはなれない」
結果的にはここで4番に使い続けたことで、岡本は本当の意味での王道を歩き出すことになる。
7月5日のDeNA戦の第2打席でレフトにタイムリー二塁打を放って、長いトンネルに終止符を打つと、3日後の広島戦で15号を東京ドームの右翼席に叩き込んだ。そして翌9日のヤクルト戦で2戦連発の中越え16号と、自分の力でスランプを乗り越え4番打者として復活を果たしたのである。
プロ入り以来わずか1本塁打だった未完の大器が4年目にして大ブレークした背景には、この2人の指揮官の決断があった訳である。
積極走塁も岡本の魅力!
実質的には2年目となる今季。
4番・岡本へのマークは当然のようにきつくなり、厳しい戦いになるはずである。それをどう乗り越えていくかは、まさに岡本自身の力にかかっている。
2月3日に行われた紅白戦では志願で先発出場。右中間への浅めの当たりで果敢に二塁を奪う積極走塁を見せるなど、前に向かう姿勢はこの選手の真骨頂でもある。
「ミスショットも多いですし、もっと精度を上げていかなければダメです」
原監督をうならせたバックスクリーン弾を放った試合後のコメントは、“2年目”のシーズンに賭ける岡本の選手としての欲の現れだった。
原がタネを蒔き、高橋が育てた「4番・岡本和真」という木に実を結ばせるのは、まさに岡本自身ということである。