フランス・フットボール通信BACK NUMBER
リーグアンではVARはどういう状況?
概ね肯定も、フランス全土で大議論中。
text by
パトリック・ソウデンPatrick Sowden
photograph byFrederic Mons
posted2018/12/31 11:00
ビデオチェックのためには、果たして何人の、どんな人物のチェックが必要なのだろうか?
シーズンを通して平等になるのか?
1対1の引き分けに終わった第17節リール対ランス戦の後で、ランス会長のジャンピエール・カイヨは激怒しながらこう語った。
「シーズンを通しては(あるチームが一方的に不利益を被るのでなく)バランスが取れるとは言われている。だが、これだけ法外な費用をかけて導入した以上、VARはサッカーを進化させてほしい。
ミスをなくすためのものであるはずなのに、『人間だからミスは仕方がない』という愚痴すら言えなくなってしまった。もし同じことがランスでなくてPSGに起こったら、果たしてPKの判定が下されただろうか?」
カイヨ会長が悔やむのが、ドラジョ主審がビデオを確認する時間をとらなかったことだった。ある審判がその事情を説明する。
「VARは主審の判定が明らかに間違っていると判断したときに、訂正すべきだと主審に告げる。リール対ランス戦の場合は判定がグレーゾーンであったためにVARの方からは介入しなかった」
これからも優秀なレフリーは優秀なまま。
レキップTVの解説者を務め現役時代はPSGとマルセイユのGKであったジェローム・アロンゾの意見は現実的である。
「レフリーは疑わしき判定に自信を持てるのか? 彼らは自信と威厳を持って笛を吹き、それが実際に正しいかどうかをVARというジョーカーを利用して確認すればいい」
その点についてあるレフリーはこう語る。
「レフリーが笛を吹くとき、彼は自分の判断に自信を持っている。そうでなければ高いレベルのレフリーは務まらない。VARが介入しなければ、彼は自分の判断に何の疑問も抱かないだろう」
得られる教訓は次の通りである。
VARがあろうがなかろうが、優秀なレフリーは優秀であるし駄目なレフリーは駄目なままである。それがピッチの上であろうとビデオカメラの前であろうと。