シミュレーションや不正、抗議が減る。

「VARがすべてを解決できるわけではないのは予めわかっていたことだ。とりわけペナルティエリア内でのコンタクトやハンドなど、解釈が求められる場面では依然として問題が残る」と、元国際主審のジョエル・キヌーは語る。

「とはいえVARがもたらすものは大きい。議論の余地が減りレフリーは冷静さを保つことができる。選手たちもシミュレーションや不正、抗議など、反スポーツ的行為を控えるようになる」

　同じく元国際主審のブルノ・デリアンも同意見である。彼はVARを「レフリーの救命ブイ」と位置づけている。

「今日では大きな誤審はほぼあり得ない。グレイゾーンのプレーをどう解釈するかが問題だ。以前から議論の対象だったが、今後もそこは変わらないだろう」

まだまだ議論の余地はある。

　第2節のギャンガン対パリ・サンジェルマン戦、1対0とリードした後に2点目となるゴールをVARにより取り消され、最終的に1対3と敗れたギャンガンのベルトラン・デプラ会長は、VARへの不満を最初に表明した人物となった。

「中断の時間が本当に長かった。最終的にレフリーは、確信を持って断固としてゴールを否定した。

　でも私が思うにあのケースでは、2回に1回はゴールが認められるのではないか。それだけ解釈が微妙であるように私には見えた」

　判定の画一化は、VARの導入によっても達成されたわけではない。今もまだ絶好の議論の対象である。

　第4節のアミアン戦で0対0と引き分けたサンティエンヌのジャンルイ・ガセ監督は怒りが収まらなかった。

「誰もが同じ基準で判定を下すべきだ。VARはその議論の余地を少なくするといわれているが、そこはしっかりと検証すべきだ」

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