フランス・フットボール通信BACK NUMBER
リーグアンではVARはどういう状況?
概ね肯定も、フランス全土で大議論中。
text by
パトリック・ソウデンPatrick Sowden
photograph byFrederic Mons
posted2018/12/31 11:00
ビデオチェックのためには、果たして何人の、どんな人物のチェックが必要なのだろうか?
ではVARに必要な人数は?
「中には解決できないケースもある」とアロンゾ(前述の元GK)は補足する。
「故意のハンドか否か、意図的なタックルか否かなどの場合だ。映像が常に唯一の真実を映し出すわけではない。判定する人間が5人いれば、5人の意見がすべて異なることもある。ビデオの前でも同じだろう。ビデオアシスタントはひとりで十分だ。人数が増えれば増えるほど異論も多くなる。決着もつけにくくなる」
実際、ビデオカメラの前には4人が控えている。VARとサブVAR、ふたりの技術者で、うちひとりは最も適切な画像を選び、もうひとりがオーディオとレフリーの連絡を担当している。最低限それだけの人数が必要であるのは、VARがリピート画像を見ている間、サブVARがライブ映像をチェックしなければならないからである。
方向としては時間の短縮を目指すべきだろう。たしかにあるレフリーは次のように述べてはいるが。
「判定にある程度の時間を要することはもちろんある。ただ、それも選手交代ほどに時間がかかっているわけではないだろう」
「陸上競技の写真判定には誰も文句を言わない」
ディジョンの監督を務めるオリビエ・ダローリオは、ボルドー戦(0対0)で2つのゴールがVARにより取り消されたことに不満を抱いてはいない。彼の考え方は極めて現実的である。
「たしかに時間がかかることもある。しかし最終的に正しい判定を得るために、私は大人しく待つことを選ぶ。
数センチ身体が前に出ていたためにオフサイドと判定され、ゴールを取り消されたといって怒る監督こそ私は理解できない。陸上競技の写真判定に文句を言うものは誰もいないだろう。
どれほど厄介でもテクノロジーが正しい答えを出す。いずれはVARも、国際サッカー評議会によって競技規則のなかに明確に規定されることになるだろう」