野球のぼせもんBACK NUMBER
ギータは守りやすく、ビール売りは嫌?
SB石川柊太の投球テンポが凄く短い。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKyodo News
posted2018/12/27 08:00
石川は今季13勝6敗、CSや日本Sでも重要な場面でセットアッパーとして活躍した。
同僚に好評、ビール売りは……。
もっとも石川は試合を早く終わらせたいわけではない。
「自分は実績があるピッチャーではない。まだまだ1試合1試合が生きるか死ぬかのラストチャンスだと思っている。投球テンポが早くなると自分の息も上がってしまうけど、勢いを持って投げることが出来る」
野手からも好評で、柳田悠岐や松田宣浩からは「守りやすいのもあるし、攻撃のリズムも良くなる」との声を聞いたこともある。
しかし、逆に全く歓迎していない人たちもいるようだ。
「ビールの売り子さんたちは僕が先発と知ると、『えー、今日、石川なの!?』って嫌がっているらしいんです」
キュートな笑顔で観客のハートを射抜く球場スタンドの女神たちは、売上杯数が給料に大きく反映される歩合制となっている。だから試合時間が長い方が稼働も多くなるから助かるわけだ。
千賀、ダルとトレーニング。
ただ、石川はスタイルを変えるつもりはない。
「味方に喜んでもらえるし、相手の打者は嫌でしょうから」
今年はクライマックスシリーズや日本シリーズではジョーカー的な役割でチームに貢献したが、最後の最後で右肘を痛めて戦列を離れてしまった。現在は50mほどのキャッチボールを行なうまでに順調に回復している。来春キャンプには影響はなさそうだ。
また、11月は球団から派遣される形で米国西海岸へオーバーホールに行き、12月上旬には同僚の千賀滉大に誘われて再び渡米してダルビッシュ有との合同トレーニングも行った。
「何もかもが凄すぎました」
大いに刺激を受けて帰国。来季に向けた糧を手にしたようだった。
来年1月は再び千賀とともに、ブレイクのきっかけとなった「鴻江スポーツアカデミー」の自主トレ合宿にも出向いて体の使い方などを改めて学ぶつもりにしている。