野球クロスロードBACK NUMBER
波乱万丈だった東北楽天の2018年。
新監督と共に冬を越え芽吹きを待つ。
posted2018/12/27 11:30
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Kyodo News
第1回は、星野仙一球団副会長の逝去、梨田昌孝監督の辞任など波乱万丈の2018年シーズンだった東北楽天ゴールデンイーグルスです!
主将の嶋基宏が真摯に頭を下げる。
「本当に、すみませんでした」
選手会長の岡島豪郎が、悔しさを押し殺しながら声を張る。
「今年もたくさん応援してくれて感謝していますし、申し訳ない気持ちでいっぱいです」
5年ぶりの優勝を誓った楽天にとって、まさか、まさかの2018年だった。
'17年は前半戦首位ターン。9月の連敗地獄を乗り越え、3位で迎えた西武とのクライマックスシリーズ・ファーストステージで、初戦を落としながら連勝。ファイナルステージでも初戦から連勝と、王者ソフトバンクをビビらせ、恐れおののかせ、そして本気にさせた。その後3連敗で“史上最大タイ”の下剋上は果たせなかったものの、翌年への機運を高めた……はず、だったのだ。
なのに、'18年は最下位に甘んじてしまうだなんて、誰が予想したことか……。並々ならぬ戦闘態勢でシーズンに挑んだのに。
楽天を襲った、闘将の旅立ち……。
プロ野球にとっての「正月」である2月1日から1カ月ほど前、本当の正月三が日を過ぎた4日、楽天に激震が走る。
燃える闘将の旅立ち。
'13年、監督として球団創設初の日本一へと導き、全東北が涙した。翌年限りで職を降りた後も、球団副会長としてチームに闘争心を植え付けた。「ファンから野次られるくらいじゃないとダメだ。甘えるな!」。そんな昭和気質の楽天の父・星野仙一が天に召され、仙台、宮城、東北、日本が悲しみに暮れた。
プロ野球の正月。現役時代から星野にかわいがられ、闘魂を受け継ぐ梨田昌孝監督の顔が引き締まる。そこには、ダジャレで周囲の笑いを誘う好々爺の姿はない。
「お前たちの言い分は聞かない。今年はやるしかないんだ!」
ロッテとの開幕戦。延長12回に藤田一也が「落ちろ、落ちろ!」と叫ぶ。念が通じたライト前への決勝適時打。激戦をものにした。
<日本一の東北へ>
断固たる決意のスローガン。
想いは、ひとつのはずだった。