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ラグビーW杯前年最後のロシア戦へ。
世界が警戒を深めるジェイミーJ。
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byNobuhiko Otomo
posted2018/11/21 16:30
名門チェルトナム・カレッジ(1841年創立)のグラウンドで練習していた日本代表の面々だが……地面が斜めだった!?
リーチ主将には10点満点の評価が!
後半から投入された63キャップのベテランCTBオーウェン・ファレルが、パニックに陥りかけていたチームを冷静に立て直した。
日本が不用意なペナルティを犯せば、迷わずタッチキックで日本ゴール前へ攻め込む。59分にFLウィルソンのトライで逆転すると、70分にはキックの競り合いのこぼれ球からつないでWTBコカナシガが、76分にはゴール前ラインアウトのモールにBKも入り13人で押し切って駄目押し。
誇り高きラグビーの母国が、見栄も外聞もなく、力尽くで勝利を奪いに来た。
翌朝の英紙サンデー・テレグラフは選手の評価でリーチ主将に10点満点をつけ「マン・オブ・ザ・マッチに選ばれるべきだった」と書いた(実際に選ばれたのはイングランドのLOマロ・イトジェだった)。
イングランドのエディー・ジョーンズ監督は、日本代表の印象を訊ねた日本メディアに「素晴らしいね。ホントに良くなった。ケンキ(WTB福岡堅樹)はいい選手ね」と日本語で答えた。ラグビーの母国の誰もが日本を称賛した。
どんな強敵にも「勝てる」メンタルで。
満足していないのは、日本の選手だった。
「一言で言うと、がっかりしている。勝てる試合を落としてしまった」とリーチ主将は言った。
相手がワールドカップ優勝を狙う、北半球最強を争う強豪イングランドであっても、日本の選手はまったく気後れしていなかった。
元指揮官のエディー・ジョーンズは、先の言葉に続けて「若い選手が素晴らしい。サンウルブズで経験を積んで、すごく成長している」と日本に賛辞を贈った。
自身が率いた2015年ワールドカップで南アフリカを破るなど3勝をあげ、「世界の強豪には勝てない」というメンタルバリアを取り払った日本代表は、その後の3年間はスーパーラグビーで、さらに世界ラグビーの上位に君臨する強豪国とのテストマッチで経験を重ね、どんな強敵を前にしても「勝てる」という気持ちで臨める自信とメンタルタフネスを手に入れた。
かつての日本には、対等に戦っていても試合の終盤に大量失点を喫する悪癖があった。無論、15-35のスコアは現実だ。特に後半のスコア「0-25」は冷酷なまでに実力差を示している。