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ベテラン3人の引退と藤原恭大。
ロッテ22歳、香月一也が思うこと。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/11/14 10:00
ロッテは2015年以降、平沢大河、安田尚憲、今年は藤原恭大と直近4年で3人の高校生左打者をドラフト1位で獲得。
ケガでも心は折れなかった。
しかし、今季の香月はそれをチャンスに変えることはできなかった。
今年2月の春季キャンプで、香月はインフルエンザにかかってキャンプ中盤で離脱を余儀なくされた。さらに3月、今度は法政大学との練習試合で左手の親指を負傷。靱帯断裂形成手術を受ける重傷を負い、全治4カ月の診断を受けた。
立て続けに襲うアクシデント。怪我直後、ロッテ浦和球場で香月に会うと表情は曇りがちだった。
それでも心が折れず前向きに進めたのは、やはり自主トレをともに過ごした岡田、金澤らベテランの背中を見て来たからだ。
「自主トレでも本当に良くしてもらって……。自分なんてまだ“ぺーぺー”なのに、いっぱい話しかけてくれたり、いつも気にしてもらったりして。自主トレだけでなく、シーズン通しても一緒に過ごす時間がたくさんあったので、思い出もたくさんあります」
金澤、岡田からの伝言。
怪我をしても、試合に出られなくても、けっして明るさを失わないベテランの姿に心を動かされた。
「自分もこうありたい。こんな風に歳を取っていきたい」
技術面だけでなく精神面でも彼らから多くのことを学んだ。
だからこそ2人の引退が発表されると、目が真っ赤になるほどに涙がこぼれた。
「めっちゃ寂しいです。キン(金澤)さん、オカ(岡田)さんに挨拶させてもらったんですけど、『絶対誰もが通る道だから』、『お前もいつ来るか分からないけどそのとき悔いがないようにしっかりやっておけよ』と言われて……」
そう話すと、感極まったか言葉が詰まった。