球道雑記BACK NUMBER
ベテラン3人の引退と藤原恭大。
ロッテ22歳、香月一也が思うこと。
posted2018/11/14 10:00
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Kyodo News
その意味を、痛切に感じているのは彼なんじゃないだろうか。
千葉ロッテ・香月一也のことである。
岡田幸文、金澤岳、根元俊一のベテラン左打者3人が今季限りで引退し、急速に「チームの若返り」を図っている千葉ロッテ。今季のドラフトも大阪桐蔭高の18歳、藤原恭大(きょうた)を1位で指名し、3年後、5年後、10年後を見据えたチーム作りが着々と進んでいる。
その中で、来季で高卒5年目を迎える22歳の香月はどうか?
またとないチャンスの年であり、と同時に一気に瀬戸際まで追い込まれるピンチの年にもなるだろう。
高卒5年目と言ったら、かつて高校時代に鎬を削った同学年が大学野球を経て、「即戦力」としてプロの世界に飛び込んでくる年である。つまり戦力にならなければいつでも“肩叩き”にあう、そんな年齢になったわけだ。
福浦も取り入れる独特の練習。
香月は言う。
「意識していないといったら嘘になりますけど、そこはあまり意識しないようにしています。意識しなきゃいけないんですけど、そこに負けないように今年の秋からさらにしっかりやっていこうと思っています」
その目には強い意思が宿る。不退転の覚悟がそこから感じ取れた。
2018年9月25日、ロッテ浦和球場。2000本安打を達成したばかりの42歳のベテラン福浦和也は、当時二軍打撃コーチだった大村巌(現一軍打撃コーチ)とともに、ある若手の練習に熱い視線を向けていた。その若手こそが香月一也だった。
よく見ると香月は、横から放ってもらったボールに強烈なスピンをかけ自身の頭上高く必死に打ち上げている。福浦自身も取り入れている独特の打撃練習法だ。
「大村コーチも普段、あの練習に付き合ってくれるので。試合前とかはあまりやらないんですけど試合終った後とかの練習でたまにやっています。福浦さんはあれを真上に上げられるんですけど、僕はまだ全然上がらなくて……」
そう話すと、まるで頭を掻くように苦笑いを浮かべた。