フランス・フットボール通信BACK NUMBER
モドリッチが考える理想のサッカー。
「10番が消滅することはあり得ない」
posted2018/11/13 11:00
text by
パスカル・フェレ&フレデリック・エルメルPascal Ferre et Frederic Hermel
photograph by
Bernard Papon
『フランス・フットボール』誌10月16日発売号では、ルカ・モドリッチのロングインタビューを掲載している。言うまでもなくモドリッチは、この11月9日に投票が締め切られた2018年バロンドールの最有力候補である。
謙虚で控え目な性格。メディアのインタビューを受けることがほとんどない彼が、自分自身やバロンドールについて、プレーについて、ロナウドやジダンについて語った。1時間20分にわたったロングインタビューの抜粋をここにお届けする。
監修:田村修一
個人主義の横行とコレクティビズム。
――あなたと同郷のバスケット選手であるトニー・クーコッチ('90年代から'00年代にかけシカゴ・ブルズなどで活躍)がこう言っています。「得点はひとりが喜ぶだけだがアシストパスはふたりに喜びをもたらす」と。あなたも同じ意見ですか?
「まったくその通りだ。僕も同じように考えてサッカーをしている。得点機会を作り出すこと、そのためにパスを供給するのが僕の一番の喜びだ。もちろんゴールも素晴らしいが、僕のヴィジョンはクコッチのそれと完全に一致する」
――そうかも知れませんが、今日のサッカーにおいてそのような理想主義的なプレーのヴィジョンを持つことは可能でしょうか?
「僕はできると信じている。勝利とスペクタクルの実現を同時に達成できるチームがあるだろう。サッカーには様々な理解のしかたがあるが、僕は両立が可能だと思っている。
選手のフィジカルコンディションがかつてないほど高まっている今日ですら、才能と技術が生きる余地はある。
常に美しさを求める。
それが今も変わらないのは、サッカーが頭を使ってプレーするスポーツであるからだ。フィジカル能力の限りを尽くしてプレーしても、サッカー的な知性、プレーにおける知性が常に根幹をなす。フィジカルが知性にとって代わることなどあり得ない」