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赤く染まる熱狂の広島の地で、
高橋由伸監督のラストゲームに沈む。 

text by

中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph byYasuyuki Nakamizo

posted2018/10/27 11:30

赤く染まる熱狂の広島の地で、高橋由伸監督のラストゲームに沈む。<Number Web> photograph by Yasuyuki Nakamizo

由伸巨人の乱高下を物語る10月のスポーツ新聞。今季最終盤で燃え上がった巨人ナインの、兵どもが夢の跡、である。

いつの日か、由伸監督の胴上げを。

 ゲームはあっさり5対1でカープが勝ち、3連勝で日本シリーズ進出決定。

 その瞬間、由伸巨人の10月の奇跡も終わりを告げる。

 まあペナントでもあれだけ引き離されての3位だ。不思議と優勝チームに負けたことに対する悔しさはほとんどなかった。それよりも由伸巨人が終わってしまう寂しさの方が強かった。

 レフトスタンドへ挨拶に向かう巨人ナイン。深々とファンに向かって頭を下げる背番号24の姿。相手の緒方孝市監督とも握手を交わし、スタジアムには「ヨシノブコール」が鳴り響いた。“さよなら”じゃなく、“お疲れさま”の拍手と歓声だ。

 もしかしたら、あの球場全体を包んだ「ヨシノブコール」は勝者の心の余裕なのかもしれない。巨人がマツダで4連勝でもしていたら、また別の雰囲気になっていただろう。

 けど三塁側内野席から、プロ野球は捨てたもんじゃないって思ったよ。

 神宮球場では菅野がノーヒットノーランを達成した瞬間、自分たちアラフォー男3人は抱き合って喜びを爆発させた。普段の会社のオフィスでおじさん3人で抱き合っていたらヤバイだろう。日常生活で絶叫するレベルの喜びっていうのは中々ない。けど、プロ野球にはそんな最高の瞬間がある。

 頼むぜ、原辰徳。

 今度はあんたが数年かけてチームを整え、次の世代にしっかり渡す番だ。それがゴジラ松井か、阿部か、それとも背番号24の再登板か。

 ひとりの巨人ファンとして今から楽しみだ。

 いつの日か、戻ってきた由伸監督の初V胴上げを見られる瞬間が。今回は叶わなかった夢が数年越しで実現した時、たぶん俺は、また客席でおっさん同士で抱き合いながら喜びを分かち合うのだろう。

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